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2026.10.16
|採用コラム
山本理久
「この採用手法って、正解ですか?」
採用の仕事をしていると、たまに聞かれる質問です。
Indeedがいいのか。求人広告がいいのか。スカウトをやるべきなのか。SNSを使ったほうがいいのか。面接では何を聞けばいいのか。
結論、採用市場には、たくさんの「正解」があります。いや、正確には、「正解のように見える情報」がたくさんあります。
私自身、約6年半採用支援の仕事をしてきた中で、数えきれないほどの採用施策を見てきました。そしてPiicに入り、自分たち自身の採用にも向き合うようになってから、以前より強く感じることがあります。
採用に、最初から決まった正解なんてないのではないか。

「この会社はスカウトで100名採用できた」
「この求人原稿に変えたら応募が3倍になった」
「この採用広報を始めたら、応募者が増えた」
こうした事例を見ると、「うちもやってみよう」と思います。
もちろん、成功事例から学ぶことは大切です。ただ、一つ忘れてはいけないことがあります。
その会社と、自分たちの会社は同じではない。
企業規模も違う。知名度も違う。給与も違う。勤務地も違う。社風も違えば、採用したい人も違う。
それなのに「成功した方法」だけを持ってきて、「これが正解だ」と考えてしまう。ここに、採用の難しさがあると思っています。

私は採用を考えるときに「正解を探す」というより、「仮説を立てる」ことを意識しています。例えば、「20代の未経験者を採用したい。」と考えたとします。
なぜ20代なのか。未経験でも活躍できる理由は何なのか。その人が、この会社を選ぶ理由は何なのか。どんな言葉なら興味を持ってくれるのか。一つひとつ仮説を立てて、実際に求人を出してみる。
応募が来なければ、仮説が違ったのかもしれない。応募は来るけれど面接につながらないなら、別のところに原因があるのかもしれない。
面接には来るけれど辞退されるなら、選考中に伝えきれていない魅力があるのかもしれない。
つまり、採用活動そのものが「実験」なんです。

ここで、第二回のコラムで書いた「プロセス」の話にもつながります。
Vol.02 | エースが11人いても、最強のチームには勝てない。高校サッカーが教えてくれた組織づくりの本質 ↗
採用では、結果が求められます。採用できたか。できなかったか。応募が増えたか。増えなかったか。
もちろん、結果は大切です。
でも、採用できなかったからといって、その活動すべてが無駄だったとは限りません。
例えば、100人にスカウトを送って、一人も採用できなかった。結果だけを見れば「失敗」です。でも、「このターゲットには、この訴求は響かなかった」「この条件では競合に負ける」「この選考フローでは離脱が起きる」ということが分かったのであれば、それは次の採用に使える情報になります。
私は、採用における失敗とは、失敗したことではなく、失敗から何も学ばないことだと思っています。
だからこそ、小さな違和感を大切にしたい。
「思ったより応募が少ない。」
「この人たちは面接で辞退する。」
「なぜかこの求人だけ反応がいい。」
そうした「なぜ?」を放置しない。そこに、次の一手が隠れているからです。

採用では、考えすぎることも一つのリスクになります。
「もっとデータを集めてから」
「他社の事例を調べてから」
「正しい方法が分かってから」
そうやって準備している間にも、採用市場は動いています。
だから私は、完璧な採用戦略をつくってから動くよりも、小さく試して、現場から答えをつくっていくことが大切だと思っています。
もちろん、闇雲にやればいいわけではありません。
考える→仮説を立てる→やってみる→結果を見る→振り返る→また考える。
この繰り返しです。
つまり、どれだけPDCAを回せているかがとても大切だと思っています。これは採用だけではなく、組織づくりにも、事業づくりにも通じることなのかもしれません。

もう一つ、私が少し怖いと思っていることがあります。採用の「正解」を追いかけすぎると、どの会社も似たような採用になってしまうことです。
「若手が活躍しています。」「アットホームな職場です。」
「未経験歓迎です。」「やりがいのある仕事です。」
もちろん、どれも悪い言葉ではないですし、魅力的です。でも、それは本当に「あなたの会社だから言えること」でしょうか。
採用の正解を探すより、「自分たちは、どんな会社でありたいのか」を考える。採用には、絶対的な正解はない。でも、だからといって何でもいいわけでもない。
その会社にとっての仮説を持ち、実践し、結果を見て、また考える。その繰り返しの中で、「自分たちにとっての正解」を少しずつつくっていく。私は、それが採用の面白さだと思っています。
「この方法なら絶対に採用できます。」
そんなことを言える人がいたら、むしろ少し疑ってみてもいいのかもしれません。あなたの会社では、採用に「正解」を求めすぎていないでしょうか。そして、まだ正解が分からないからこそ、今日、何を試してみるでしょうか。
その会社らしさを見つけて、候補者に伝えて、反応を見ながら磨いていく。そのほうが、長い目で見れば強い採用になるのではないでしょうか。
