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エースが11人いても、最強のチームには勝てない。高校サッカーが教えてくれた組織づくりの本質

2026.07.17

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採用コラム

Written by

山本理久

Piic Magazine

高校3年間、私の頭の中はサッカーしかありませんでした。

宮城県の聖和学園高校で、朝から晩まで「どうすれば試合に出られるか」「どうすれば試合に勝てるか」だけを考えていました。

練習が終わっても、帰宅すれば次の日の試合をイメージする。休みの日も、ライバルに勝つために何が足りないのかを考え、練習する。その繰り返しでした。

あの頃は「もっと上手くなれば勝てる」と本気で信じていました。でも、高校サッカーが私に教えてくれたのは、それとは少し違うことでした。

個人の能力が高いことと、チームが強いことは、まったく別の話です。

技術のある選手はたくさんいました。ドリブルが上手い選手も、シュートがうまい選手も、誰よりも走れる選手もいました。

それでも、一枚岩になれないチームは勝てない。逆に、一人ひとりの能力では上回っていなくても、全員が同じ方向を向いているチームには、不思議な強さがありました。

私は高校3年間で、「エースが11人いるチームより、11人が一つになったチームの方が強い」ということを身をもって学びました。社会人になり、採用や組織づくりに携わるようになってからも、この感覚は変わっていません。

企業では、「優秀な人を採用したい」という言葉をよく耳にします。もちろん、能力の高い人は必要です。しかし、能力だけを集めても、強い組織になるとは限りません。

そのことを改めて感じたのが、2026年W杯の日本代表の戦いでした。

森保一監督は、「個」の力を否定するのではなく、それぞれの個性を生かしながら、チームとして最大の力を発揮することを大切にしているように見えます。

試合に出る11人だけではなく、ベンチメンバーも、スタッフも含めて「全員で勝つ」という空気をつくる。だからこそ、途中出場の選手が試合を決めることもあれば、試合に出られなかった選手がチームを支える姿も生まれるのでしょう。

一方で、ペップ・グアルディオラ監督は、「ボールを持っている選手だけが試合をしているのではない」と語っています。

ボールを持たない選手の動きがあるからこそ、持っている選手が輝ける。目立つ人だけが価値を生むのではなく、目立たない役割の積み重ねがチーム全体の力になる。

一見すると異なるスタイルの二人ですが、共通していることがあります。

それは、「個人を生かすために組織がある」のではなく、「組織が個人をさらに強くする」という考え方です。私は、この考え方は会社にもそのまま当てはまると思っています。

採用でも、「すごい人」を探すことに目が向きがちです。営業成績が良い人。経験が豊富な人。資格を持っている人。

もちろん、それらは大切な要素です。でも、本当に見るべきなのは、「その人は周りを強くできる人か」ということではないでしょうか。

私がこれまで見てきた良い組織には、一つの共通点があります。

それは、熱が伝播していることです。

誰かが本気で仕事に向き合う。その姿を見た誰かが、「自分もやってみよう」と思う。

挑戦する人が増え、助け合うことが当たり前になり、組織全体の基準が少しずつ上がっていく。

文化とは、制度ではなく、この小さな連鎖から生まれるものだと思っています。

そして、もう一つ大切にしたいことがあります。

それは、結果とプロセスの関係です。

勝負の世界にいる以上、結果は追い続けなければなりません。

勝ったか、負けたか。

採用できたか、できなかったか。

数字は現実を映します。しかし、結果だけを見ていても、次の勝利はつくれません。

勝利にも、敗北にも、必ずプロセスがあります。私は、そのプロセスの中にある「小さな違和感」にこそ、次の成長のヒントがあると考えています。

いつもより声が出ていなかった。いつもなら助け合えていた場面で、誰も動かなかった。

数字には表れない変化に気づけるかどうか。

そこに強いチームと、そうでないチームの差が生まれるように感じています。

高校サッカーで学んだことも、採用の現場で学んだことも、結局は同じでした。

強い組織は、優秀な個人の集まりではありません。一人の本気が、隣の誰かの本気を引き出す。

その熱が少しずつ伝わり、「これが私たちの当たり前だ」と言える文化になる。組織とは、その連鎖の積み重ねなのだと思います。

では、あなたの会社ではどうでしょうか。

チームを強くしているのは、誰か一人のエースでしょうか。それとも、誰かの熱が自然と伝わる文化でしょうか。

採用も、組織づくりも、その答えはきっと同じ場所にあるのだと思います。

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