Articles
2026.05.29
|Interview
浪花 朱音
企業の意思や本質的な魅力をクリエイティブによって可視化し、たしかな採用へとつなげる「リクルートプロデュース」を担う会社として、2026年の春にリブランディングを行った株式会社Piic(以下、Piic)。創業以来さまざまな事業で培ったクリエイティブの力を土台に採用支援という新たな事業に挑む今、これからも変わらないPiicの強みや想い、そして目指す未来の姿とはいかなるものだろうか。前編では、代表を務める藤井直哉をはじめ、創業期からのコアメンバーである瀬戸脇連、宮田匠の3名に話を聞いた。
Index

まずは創業当時のことを教えてください。みなさんはどのように組織に加入されたのでしょうか?
滋賀で育ったからこそ、大津をかっこいい街にしたいという思いで、クリエイティブ事業を担う企業として2020年に創業しました。当初はいわゆるデザイン事務所のような会社で、たとえば企業や行政のチラシやロゴマーク、ホームページなどの制作受注を請けてきました。
立ち上げから2年目の途中に、瀬戸脇がチームに加わりました。彼はもともと中学の同級生なんですが、SNS経由で同じ業種の仕事をしていることを知って、一緒に食事をしたのが始まりです。

宮田は、もともと瀬戸脇から「同居中の友達がいる」という話を聞いていて。偶然入ったカフェで会って、「これが同居人やねん」と(笑)。初めて会ったのに5分後には「飯……行きますか?」「行きます!」みたいな。そのことがきっかけで、一緒に事業をすることになりました。マーケティングを専門にしていた宮田が入社したことで、Piicでもマーケティングを強化していくことになりました。しばらくはこの3人が会社のコアメンバーとして経営を担い、人数が増えたりメンバーが変わったりしつつ、6期目を終えた今年、リブランディングを行いました。
これまでにさまざまな案件に取り組まれてきたと思いますが、印象的だったプロジェクトは何でしょうか?
僕は東京の「株式会社Piic」様のリブランディングプロジェクトです。同じ会社名だからという理由で問い合わせをくださったんです。創業のタイミングや企業の規模感も似ていて、事業内容を見直すタイミングで相談をくださいました。
たしかに。コーポレートのリブランディング仕事をここまでがっつり担当するのは初めてだったので、印象に残っていますね。

僕個人としては、創業して一番最初に受注した案件ですね。県内のあるオフィスが改装することになり、その空間づくりの仕事でした。決まった予算の中で品質を突き詰めた結果、採算度外視の仕事になってしまって。それよりも仕事をいただけたことが嬉しかったし、妥協せずいいものを納品するのが一番大事やなって思いました。あれがなかったら今のPiicはなかったと思います。

この度リブランディングをし、採用支援に取り組む「リクルートプロデュース」を新たな柱として掲げられています。その経緯を教えていただけますか。
入社した当時から、このままクリエイティブ事業のみを続けていても企業成長の幅を広げるのは難しいんだろうなと感じていました。企業を成長させるのであれば社内体制も含めていろいろと変えていかねばと思い、模索していました。とはいえクリエイティブやデザインを軸としている会社であり続けたい。マーケティング領域はクリエイティブと関連性も高いので、まずそこから新しい挑戦を始めましたが、同時にほかに関連性のある領域はどこだろうと考えていました。そこで見つけたのが「採用」です。

会社を伸ばすためには、市場の規模感や世の中からのニーズを捉える必要があります。今現在、少子高齢化が進んでおり、この先労働人口が減っていくのは目に見えています。一求職者を複数の企業が取り合うような状況になってくると思います。ほかの競合他社と比較された時に、選ばれる会社にしておかないといけない。そうした課題に対して、僕たちがやってきたブランディングやデザインの力が発揮できるんじゃないかと思いました。
そうした流れからPiicで採用領域に取り組むことになり、足りていなかった採用の専門的スキルを拡充しました。
リブランディングにあたって、僕らのコピーにも「人が集まる組織には、理由がある。」と入れましたが、つまり優秀な人材が集まる会社って、それだけの理由があると思うんです。滋賀県内の中小企業ですと、ブランディングされていなかったり、事務所が昔のままだったりというケースをよく見かけます。でも、たとえば同じ給料で、同じ年間休日だけど、オフィスもデザインされて綺麗で、トレンドも追いかけているようなベンチャー企業があれば、絶対に後者を選びたい人が多いと思うんです。Piicでは、僕らが培ってきたクリエイティブの力を活かしてブランディングをして、採用支援まで一気通貫して行える。そこが強みだと思っていますし、他の企業にはないと思います。
実際に「リクルートプロデュース」に舵を切るにあたり、Piicでも専門スキルを持ったメンバーをはじめ多くの採用を行なっています。自社における採用経験で、改めてどんなところに採用の重要性を感じられましたか。
入社する人によって会社のあり方が変わることを強く感じましたね。とくに僕たちのような社員数が多いわけではない企業の場合、誰が入るかで会社の可能性や、実現できることが結構変わるんです。だからこそ、どういった人を採用すれば会社にとって良いのかが捉えられていないと、採用しても成長が鈍化する可能性だってあると感じました。自分たちが向かいたい先はどこなのか、そのためにどんな人が必要なのかを把握して、理解する。今回のリブランディングにあたって、自分たちの会社に合う人を言語化して、判断する指標ができたことが大きかったと思います。
採用フローも結構変えましたよね。以前は2回の面談だけでしたが、今は適正検査をして、面談を2回、そのあと一回オフィスに来ていただいて、最後には一緒に食事に行くことも大事にしています。食事の席をともにすると、その人の人間性もある程度わかるんですよね。

リブランディングによって進化すること、一方で変わらないことはなんでしょうか?
一人ひとりを大切にしていきたいと思っています。個々人のなりたい像や目標が、会社の目標と同じベクトルを向いていて、一人ひとりが生き生きと活躍できることを大事にしたい。AI技術がどれほど発展しても、結局大切なのは「人」なんですよね。Piicが憧れられる会社でありたいという想いもありますが、それを体現するためにも一人ひとりの社員を大切にしていくことが、根底にずっとあるのかなと思います。
憧れの企業であることと、挑戦し続けられる企業でありたい。全員が個々に物事を捉えて仕事に取り組めて、挑戦できる環境であることはずっと変えたくないです。
たとえば、僕は「集中してない時間は労働時間じゃない」と思っていて。たぶん僕が集中できる時間って1日のうち4時間ぐらいなんですよ。労働時間は基本8時間ですが、そんなに集中し続けられないことのほうが多い。自分の中途半端で弱い部分でもあるんですけど、そのぶん4時間に集中して詰め込んでいるんです。なので休む時は休む、働く時は働くというようなメリハリをもって働ける環境でありたいなと思います。
Piicではキーワードとして「Playful」を掲げていますが、なぜかというと、楽しむことが仕事の最大のポテンシャルになると思っているからなんですよね。楽しんで最大化する、それに尽きるかな。人を大切にすることも、よく言われることだと思うんですが、どこよりも大切にしたいと考えています。

一方で、社会に対してはどのような企業でありたいですか?
これからもクリエイティブに関しては引き続き取り組んでいきますし、そこが他の採用支援企業とは違うところだと思います。クリエイティブの視点を持っているからこそできる採用支援がある。「Piicに頼めばクリエイティブで解決してくれる」みたいな、面白くてワクワクするイメージは大切にしていきたいです。
瀬戸脇と同じで、面白い会社だな、ワクワクする会社だなと思われたいですね。一つひとつのプロジェクトを見ていてもワクワクするというか、期待感が持てて、さらに実態も伴っていることが理想です。
もうひとつは従業員の視点から見ると、あと何年と続けているうちに別の会社に転職するメンバーも出てくると思います。その時に「自分はPiicにいたんだぜ」と自慢できる会社にしたい。Piicだからできたこと、やってきたことを別のところで活かせるでしょうし、Piicにいることに誇りが持てるようにしたいですね。だからこそ、一人ひとりが毎日仕事を楽しんで活躍してほしいです。
滋賀の中でPiicが夢を与えられる企業でありたいと思っています。余談ですが、先日滋賀レイクスの冠試合をやったんです。今僕は30歳なんですけど、それを見て「30歳でできるなら、20代の自分もやってやろう」と思ってくれるような若いベンチャー企業が出てきてくれたらすごく面白いなと思ってて。自分たちの背中を見て「Piicを超えよう」と思ってくれる若い世代が増えると嬉しい。若手起業家が地域に増えたら、滋賀県自体がもっと盛り上がっていくし、雇用も増えていくんじゃないかと想像しています。

余談ですが、みなさん今年30歳で、幼馴染だったり高校が一緒だったりする同級生ですね。同世代で組織をつくり、働くということも組織にとって何か影響がありますか?
これは僕の予想ですが、30歳というのはそれぞれがキャリアを積んでポテンシャルも上がってきた節目であり、転職や新しいキャリアに挑戦できるタイミングだと思うんです。僕自身も今20歳や40歳だったら、企業自体が全然違うあり方になっていたと思います。30歳というタイミングだったからこそ、思い切り挑戦しようと決められたたこともありますし、今のメンバーであれば、もしミスしても後悔はないと思えました。
仮に失敗したとしても、違うことで絶対に立て直せる自信があるというか。ほんまにたまたまやと思いますが、いいメンバーに恵まれてラッキーだなと思います。自分が30代後半だったとしたら、このようなリブランディングは怖くてできなかっただろうなと思います。
インタビュー全体として「挑戦」というワードが印象的です。Piicとして、あるいは個人として、挑戦し続けるためにどんなことに取り組んでいきたいですか?
今もいろんなかたちで取り組んでいます。オフィスをあえてリニューアルすることもそうですし、採用を積極的に行なっているのも会社としてはリスクを背負うことでもあるので、挑戦のひとつかなと思いますね。
個人に任せることが組織的にできているんじゃないかなと思います。任せることで、任された人が自分で考えて行動して、成長できる。組織としても意識的に取り組んできましたし、これからもそうしていくべきだと思います。意見にNOと言うのではなく、もしそれを実践するのであればどうすればよりよくなるのかを一緒に考える。自分で考えて「これがいい」ということがあれば後押しできる環境がある気がしますね。それによってメンバーも成長して自立して、というのがあるのかなと思います。
僕自身でいうと、事業をやっていく上で提供できる価値を高めたいなという視点がずっとあります。探求も続けたいですし、自己成長は常に目指していきたいと思います。
一人ひとりのやりたいことや実現したいことの意見をひろって、そこに合理性や採算性が合えばやろう!という環境があります。僕自身も、相手と話す中でその人の未来を広げることが好きなんです。たとえばこういうことをしたら営業につながって売り上げが上がったよと提示できますし、Webサイトをつくったあとに集客もできますよというように、次の可能性へとつなげることが少し得意かなと思っているので、これからもワクワクや挑戦し続ける姿を提供し続けていけたらと思います。
