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実績を捨てて、ゼロから始めた。そこで初めて見えた採用の本質

2026.07.03

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採用コラム

Written by

山本理久

Piic Magazine

「山本さんだからお願いしたい。」

前職で採用支援の仕事をしていた頃、そんな言葉をいただける機会が少しずつ増えていました。
営業として約6年半、多くの企業の採用を支援し、数えきれないほど求人広告を書き、経営者や人事の方と向き合ってきました。

実績も経験も積み重なり、「採用支援とはこういうものだ」という自分なりの答えも持ち始めていたように思います。それでも私は、その環境を離れ、Piicというまだ小さな会社に入りました。理由を聞かれるたび、「新しい挑戦をしたかったからです」と答えてきました。

でも、本当はもう少し違います。


私が向き合いたかったのは、新しい会社ではなく、自分の中にあった一つの違和感でした。

採用は、本当に“採用”だけを考える仕事なのだろうか。

前職では、企業から「応募が来ない」「良い人が採れない」という相談を数えきれないほど受けました。求人媒体を変える。スカウトを改善する。原稿をリニューアルする。どれも必要な施策ですし、実際に成果につながることもあります。

けれど、成果が出る企業と出ない企業を見続ける中で、ある共通点が気になり始めました。採用がうまくいく会社は、採用の話をしていない。正確に言えば、採用の前に「会社の話」をしているのです。


どんな未来を目指しているのか。
どんな人と働きたいのか。
その人が入社したら、会社はどう変わるのか。


こうした問いが自然と語られる会社には、不思議と人が集まり、入社後も活躍するケースが多いように感じていました。一方で、「営業を3人採りたい」「応募を20名集めたい」という話だけで採用が進む会社ほど、採用活動そのものが目的になってしまう。当時はその違いを感じながらも、どこか客観的に見ていた自分がいました。


しかし、Piicに入って立場が変わりました。


今度は、自分たち自身が「選ばれる会社」をつくらなければならない。会社の魅力は何なのか。なぜこの会社で働く意味があるのか。

求人広告を書く前に、何度も立ち止まって考えるようになりました。そこで気づいたのは、採用とは人を集める技術ではなく、会社の存在理由を言葉にする営みなのだということです。実績も、知名度も、ブランドもない会社であればなおさらです。

「誰が言うか」ではなく、「何を目指している会社なのか」が問われる。ゼロから会社をつくることは、ゼロから採用を考え直すことでもありました。

そしてもう一つ、実績を手放したことで見えたことがあります。それは、信頼は過去ではなく、現在形でしか生まれないということです。

過去の成功体験は、自分を紹介してくれるかもしれません。でも、新しい環境では、それだけでは誰も動きません。今、どんな問いを持ち、何を考え、どんな価値を提供できるのか。結局、人はそこを見ています。

だから今、私が一番戦っている相手は競合ではありません。昨日までの自分です。

「以前はこうだった。」「このやり方で成果が出ていた。」

そんな経験に頼りたくなる自分と向き合いながら、現場で起きている変化を観察し、仮説を立て、試し、また考える。その繰り返しを続けています。

採用市場はこれからも変わります。手法も、媒体も、働き方も変わるでしょう。でも、その変化の中でも変わらないものがあるとしたら、それは「人は、共感できる場所で働きたい」ということではないでしょうか。

採用は、人を集める活動ではなく、「この会社で働く意味」を伝える活動なのかもしれません。まだ、その答えを持っているわけではありません。だからこそ、このMAGAZINEでは、現場で見たこと、考えたこと、試したことを、一つずつ言葉にしていきたいと思います。

Piic MAGAZINEでは、正解を届けるためではありません。採用に向き合うすべての人が、自分たちの会社にとっての答えを考えるきっかけになれば、それ以上に嬉しいことはありません。

採用とは何か。働くとは何か。

その問いを、これからも現場で考え続けていきます。現場で起きている出来事を見つめ、その背景を考え、実践し、そこから得られた学びを共有していきたいと考えています。

私自身も、まだ挑戦の途中です。
だからこそ、この連載では完成された答えではなく、「採用とは何か」を問い続ける過程を、読者のみなさんと一緒に考えていけたらと思っています。


ゼロから始めた今だからこそ見える景色があります。その景色を、この場所から届けていきたいと考えています。

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