
近年、人材採用の現場では「AI(人工知能)」の活用が急速に広がっています。
採用業務の効率化や、候補者とのマッチング精度の向上など、従来のやり方では得られなかった成果を実現できるようになってきました。
この記事では「採用AIとは何か?」をわかりやすく解説するとともに、導入するメリットや具体的な活用方法、実際に成果をあげている企業の事例まで紹介します。
こんな方はぜひ最後までご覧ください。
- 応募数は増えているのに、ミスマッチ採用が多い
- 採用担当の工数がかかりすぎて他業務に手が回らない
- 他社がどのようにAIを使って成果を出しているのか知りたい
- 「AI採用」という言葉は聞いたことあるけど、何から始めればいいか分からない
AIをうまく活用できれば、採用活動の質もスピードも大きく変わります。
本記事が、御社の採用を一歩進めるきっかけになれば幸いです。

Index
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採用AIとは?企業で導入が進む背景を解説
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採用プロセスのどこで使える?AIが担う具体的な業務内容
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エントリーシートや履歴書の自動スクリーニング
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AIによるWeb面接の解析と評価
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自社にマッチする候補者の高精度な抽出
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採用にAIを導入する4つのメリット
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採用担当者の定型業務にかかる負担を軽減できる
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客観的な基準で公平性の高い選考が実現する
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採用コストの削減に貢献する
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ヒューマンエラーを防ぎ選考の精度を高める
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採用AI導入前に知っておきたいデメリットと注意点
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導入初期にはAIの学習データ蓄積が必要になる
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候補者の個性や熱意といった定性的な評価は難しい
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評価基準が画一的になりミスマッチが起こる可能性
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応募者との人間的なコミュニケーション機会が減る
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採用AIの導入を成功させるためのポイント
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AIが得意な業務と人間が判断すべき業務を切り分ける
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最終的な合否判断は必ず人が行う
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「なぜ導入するのか」という目的を社内で明確にする
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採用AIの活用に成功した企業の導入事例
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大手小売業でのエントリーシート分析の効率化事例
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飲食チェーンでの動画面接による選考スピード向上事例
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大手メーカーでの採用ミスマッチ防止への活用事例
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まとめ
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採用クリエイティブはPiicへご相談を
採用AIとは?企業で導入が進む背景を解説
採用AIとは、企業が採用活動においてAI技術を活用する取り組みを指します。具体的には、履歴書やエントリーシートの自動スクリーニング、AI面接、チャットボットによる応募者対応など、多岐にわたる業務にAIが導入されています。
近年、多くの企業で採用AIの導入が進む背景には、労働人口の減少に伴う人材獲得競争の激化があります。企業は、自社に必要な人材を高い精度で獲得する必要に迫られており、応募者のスキルや適性、自社への適合度合いをデータに基づいて客観的に判断することの重要性が増しています。
また、採用活動の長期化や中途採用の拡大により、人事担当者の業務負担が増加していることも、AI導入を後押しする要因となっています。
AIの進化により、大量の応募者データを分析し、精度の高い選考が可能になった点や、デジタル技術の発展、リモートワークの普及によってオンラインでの選考ニーズが高まっている点も、企業でのAI導入が進む理由です。
採用プロセスのどこで使える?AIが担う具体的な業務内容
採用プロセスにおいてAIは様々な業務に利用されており、効率的かつ高精度な採用活動をサポートします。具体的には、エントリーシートや履歴書の自動スクリーニング、AIによるWeb面接の解析と評価、そして自社にマッチする候補者の高精度な抽出などが挙げられます。
AIの活用は、採用担当者の業務負担を軽減し、より戦略的な採用活動に注力できる環境を整えます。
エントリーシートや履歴書の自動スクリーニング
エントリーシートや履歴書の自動スクリーニングは、AIが担う主要な業務の一つです。
AIは、応募者の履歴書やエントリーシートの内容を解析し、あらかじめ設定された評価基準に基づいてスコアを付けたり、合否判定を行ったりすることが可能です。
特に大量の応募がある企業では、AIが応募者の志望度や適性を分析し、スクリーニングを行うことで、人事担当者は本来注力すべき業務に集中できる環境が整います。
横浜銀行では、2019年度の新卒採用で人工知能エンジン「KIBIT」を導入し、エントリーシートの志望動機などを定量的に評価し、選考時間を約70%削減することに成功しました。
これにより、人事担当者の負担が大幅に軽減され、効率的な選考が実現します。
AIによるWeb面接の解析と評価
AIによるWeb面接は、採用プロセスを効率化する上で重要な役割を果たします。応募者はオンラインで面接を受け、AIがその回答内容を音声認識システムでテキスト化します。さらに、回答内容だけでなく、表情、視線、声のトーンなども分析し、候補者の適性や企業との相性を科学的かつ客観的に評価し、公平で一貫性のある選考を実現します。
例えば、ソフトバンクでは、動画面接の評価にAIシステムを活用し、選考作業にかかる時間を約70%削減した事例があります。
また、キリンホールディングスでは新卒採用に「AI面接官」を導入し、応募者との面接をAIが担当することで、公平かつ効率的な選考を実現しています。
自社にマッチする候補者の高精度な抽出
AIは、大量のデータを分析する能力に優れており、企業と候補者のマッチング精度を向上させることに貢献します。
過去に採用された社員の経歴、スキル、選考での評価データをAIに学習させることで、候補者ごとの活躍予測や定着可能性をスコア化することが可能です。
これにより、企業の求める人材像に合った候補者を効率よく見極めることができ、より適切なマッチングを実現します。
AIは、履歴書や職務経歴書だけでなく、適性検査のデータも活用し、応募者のスキルや適性を評価することに加えて、どのような特性を持つ応募者が採用に至りやすいかを予測することも可能です。
マッチングの精度向上は、採用後のミスマッチを防ぎ、早期離職のリスクを軽減する効果も期待できます。
採用にAIを導入する4つのメリット

採用にAIを導入することで、採用活動における様々なメリットが期待できます。
特に、採用担当者の定型業務にかかる負担を軽減できる点、客観的な基準で公平性の高い選考が実現する点、採用コストの削減に貢献する点、ヒューマンエラーを防ぎ選考の精度を高める点の4つは、AI導入の大きな利点と言えるでしょう。
採用担当者の定型業務にかかる負担を軽減できる
採用活動におけるAIの最大のメリットの一つは、採用担当者の定型業務にかかる負担を大幅に軽減できる点です。AIは、履歴書やエントリーシートの自動スクリーニング、適性検査の分析、面接日程の調整、チャットボットによる応募者からの問い合わせ対応など、これまで人事担当者が手作業で行っていた多くの業務を自動化します。
これにより、採用担当者は、応募者とのコミュニケーションや内定者のフォロー、研修など、より戦略的で人間的な関わりが必要なコア業務に集中できるため、採用活動全体のパフォーマンス向上が期待できます。
客観的な基準で公平性の高い選考が実現する
AIを採用プロセスに導入することで、客観的な基準に基づいた公平性の高い選考が実現します。
従来の採用活動では、面接官の経験や主観、無意識のバイアスによって評価にばらつきが生じるリスクがありました。
しかし、AIは事前に設定された客観的な判断基準や大量のデータに基づいて評価を行うため、一貫性のある評価が可能です。
採用コストの削減に貢献する
AIの導入は、採用コストの削減にも大きく貢献します。
AIが書類選考や面接日程の調整、チャットボットによる問い合わせ対応などの定型業務を自動化することで、これらの業務にかかる時間と人件費を大幅に削減できます。
例えば、AIは24時間365日対応が可能なため、深夜や週末でも選考を進められ、採用期間の短縮につながります。
選考期間の短縮は、優秀な候補者が競合他社に流れるリスクを減らすだけでなく、採用活動全体の効率化にも寄与し、結果として採用コスト全体の最適化に繋がります。
ヒューマンエラーを防ぎ選考の精度を高める
採用活動にAIを導入することで、ヒューマンエラーを防ぎ、選考の精度を高めることが可能です。
採用プロセスでは、応募書類の確認や情報入力、日程調整など、多くの手作業が発生し、人的ミスが生じやすい側面があります。
AIは、これらの定型作業を正確かつ高速に処理できるため、ミスによる手戻り作業を防ぎ、採用業務全体の生産性を向上させます。
また、AIは大量のデータを分析し、企業が求める人材に合致する候補者を高精度で特定できるため、データに基づいた客観的な評価が可能となり、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
採用AI導入前に知っておきたいデメリットと注意点
採用AIの導入には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットと注意点も存在します。
これらを事前に理解しておくことで、より効果的なAI活用と、起こりうる問題への対策を講じることができます。
導入初期にはAIの学習データ蓄積が必要になる
AIを採用活動に活用するためには、学習させるためのデータが必要です。AIは過去のデータや登録された条件をもとに応募者を評価する仕組みのため、一般的にはデータ量が多いほど評価の精度が向上する傾向にあります。
より高い精度を得るためには、長期的にデータを収集し、学習させなければなりません。そのため、AIを導入してもすぐに期待通りの効果が現れるとは限らない点を理解しておく必要があります。
候補者の個性や熱意といった定性的な評価は難しい
AIはデータに基づいた分析や意思決定が得意な一方で、候補者の個性や熱意、潜在能力といった定性的な評価は難しいという問題があります。AIは蓄積されたデータに基づきマッチ度を評価しますが、現段階では応募者が持つ人間的な魅力やポテンシャルを完全に評価することは困難です。
数値化が難しい要素については、AIでは適切な判断を導き出せないケースもあるため、人柄や自社とのマッチング度といった側面は、最終的に人が判断する必要があります。
評価基準が画一的になりミスマッチが起こる可能性
AIの導入によって評価基準が徹底的に画一化されると、柔軟性が損なわれる可能性があります。AIは事前に定めた基準に則って判断するため、評価がブレることはありませんが、これにより採用する人材の傾向が偏ったり、多様性が失われたりするリスクが考えられます。
また、過去の偏ったデータをAIが学習した場合、評価基準にバイアスが生じる可能性も指摘されています。
応募者との人間的なコミュニケーション機会が減る
採用AIの導入は、応募者との人間的なコミュニケーション機会を減少させる可能性があります。AI面接の導入などにより、選考の多くの段階でAIが介在することで、応募者は「AIに合否を決められたくない」と感じたり、自身の情報がどのように扱われるかについて不安を抱いたりすることが考えられます。
特に若い世代はAIリテラシーが高く、表面的なAI導入に対してマイナスの印象を抱く場合があるため、企業はAI活用の目的や範囲、最終的な判断は人が行うことなどを応募者に明確に伝える必要があります。
採用AIの導入を成功させるためのポイント

採用AIの導入を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
AIの特性を理解し、人間との役割分担を明確にすること、最終的な判断を人が行うこと、そして導入目的を社内で明確にすることが、効果的なAI活用に繋がります。
AIが得意な業務と人間が判断すべき業務を切り分ける
AI採用を成功させるためには、AIが得意な業務と人間が判断すべき業務を明確に切り分けることが重要です。AIは、大量の応募者データの分析、応募者対応の自動化、求人票やスカウト文面の作成支援など、定量的かつ反復的な作業に強みを発揮します。
しかし、候補者の人柄や人間性、自社とのマッチ率といった数値化が難しい要素については、人が判断する必要があります。
最終的な合否判断は必ず人が行う
採用AIを導入する際、最終的な合否判断は必ず人が行うべきです。
AIはあくまで採否を判断する指標となるサポートツールであり、採用活動のすべてを完ぺきに一任できるものではありません。
AIは過去のデータを学習して判断を行うため、元のデータに偏りがあると意図しないバイアスを持つリスクがあることや、候補者の個性や熱意といった定性的な要素を完全に評価できない限界があるため、AIの判断に依存しすぎないことが重要です。
「なぜ導入するのか」という目的を社内で明確にする
採用AIの導入を成功させるには、「なぜ導入するのか」という目的を社内で明確にすることが不可欠です。漠然とした導入では、期待する効果が得られないだけでなく、費用や運用工数といったデメリットが大きくなる可能性もあります。
まずは、自社が抱える採用課題、例えば「書類選考に時間がかかりすぎる」「面接官の評価にばらつきがある」「母集団形成に課題がある」などを具体的に特定し、AIがその課題解決にどのように貢献できるかを明確にする必要があります。
採用AIの活用に成功した企業の導入事例
採用AIは、多岐にわたる企業で導入され、その採用活動に大きな変化をもたらしています。
ここでは、具体的な導入事例を通して、採用AIの有効性を紹介します。
大手小売業でのエントリーシート分析の効率化事例
大手小売業では、大量のエントリーシート選考にAIを活用し、業務効率化に成功しています。
例えば、横浜銀行は2019年度の新卒採用において、人工知能エンジン「KIBIT」を導入しました。
このAIは、過去の採用成功データを学習し、エントリーシートの志望動機などの文章を定量的に評価することで、適性の高い候補者を効率的に選出できるようにしました。
飲食チェーンでの動画面接による選考スピード向上事例
飲食チェーンの吉野家ホールディングスでは、採用活動において「Interview Cloud」を導入し、選考スピードの向上と現場の負担軽減を実現しました。応募者は、時間や場所にとらわれずにスマートフォンで面接動画を撮影し、その動画を活用して評価が行われます。
大手メーカーでの採用ミスマッチ防止への活用事例
大手メーカーでは、AIを導入することで採用ミスマッチの防止に成功しています。例えば、ある大手メーカーでは、AI適性検査を導入し、過去の採用データを学習させることで、入社後の活躍予測や定着可能性をスコア化しました。
まとめ
採用AIは、現代の採用活動において非常に強力なツールとなり得ます。応募書類のスクリーニングや面接の解析、適切な候補者の抽出といった定型業務をAIが担うことで、採用担当者の業務負担を軽減し、より戦略的な採用活動に注力できるメリットがあります。
また、AIは客観的な基準で評価を行うため、公平性の高い選考を実現し、ヒューマンエラーを防ぎ、選考の精度を高めることが可能です。これにより、採用コストの削減にも繋がり、企業全体の生産性向上にも貢献します。
しかし、AI導入には、初期の学習データ蓄積が必要であることや、候補者の個性や熱意といった定性的な評価が難しいといったデメリットも存在します。そのため、最終的な合否判断は必ず人が行い、AIが得意な業務と人間が判断すべき業務を明確に切り分けることが、採用AIを成功させるための重要なポイントとなります。
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