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白石 真衣

採用活動のKPIとは?設定方法と指標の具体例を解説|人事担当者向け

採用活動のKPIとは?設定方法と指標の具体例を解説_人事担当者向け

採用活動を成功させるためには、感覚や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータに基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。
そこで重要になるのが「採用KPI」の設定です。
KPIとは何か、そしてそれをどう活用すれば良いのか、人事の担当者なら誰もが一度は考えるテーマでしょう。

この記事では、採用KPIの基本的な考え方から、具体的な設定方法、主要な指標、そして成果につなげるための運用ポイントまでを網羅的に解説します。
KPIを正しく理解し活用することで、採用活動の課題を明確にし、成果を最大化することが可能になります。

Index

採用活動におけるKPIとは?人事担当者が知るべき基本

採用活動におけるKPIとは、最終的な目標(KGI)を達成するための中間指標のことです。
例えば「エンジニアを10名採用する」という最終目標(KGI)に対し、「応募者数」「書類選考通過率」「内定承諾率」などがKPIにあたります。

これらの指標を定期的に観測することで、採用活動が計画通りに進んでいるか、どこに課題があるのかを客観的に把握できます。
KPIは、採用活動という航海の羅針盤のような役割を果たす、人事担当者にとって不可欠なツールと言えるでしょう。

目標達成の羅針盤となる採用KPIの役割

採用KPIは、漠然とした目標を具体的な数値に落とし込み、採用活動の進捗を正確に把握するための羅針盤としての役割を担います。
KPIを設定することで、チームは現在地とゴールまでの距離を常に意識でき、計画通りに進んでいない場合は早期に軌道修正を図ることが可能です。

例えば、「応募者数が目標に達していない」という事実が数値で明らかになれば、求人広告の出し方を見直すといった具体的なアクションにつながります。
このように、データに基づいてPDCAサイクルを回すことで、採用活動はより戦略的かつ効率的になります。
継続的なKPIの観測と改善は、最終的に組織全体の採用力向上に貢献します。

最終ゴールを示すKGIとの明確な違い

KPIとよく似た言葉にKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)がありますが、両者の役割は明確に異なります。
KGIが「事業年度内に中途採用で10名採用する」といった最終的なゴールを示す指標であるのに対し、KPIはそのKGIを達成するための中間的な目標指標です。

例えば、10名採用というKGIを達成するために、過去の実績から「内定者を20名出す必要がある」「そのためには100名と面接する必要がある」といったように、プロセスを分解して設定されるのがKPIです。
KGIが目的地だとしたら、KPIはそこへ至るまでのチェックポイントのようなものです。
両者を正しく設定し、連携させることが目標達成の鍵となります。

なぜ採用KPIの設定が重要なのか?導入する3つのメリット

採用活動にKPIを設定することは、なぜこれほど重要視されるのでしょうか。
KPIを導入する最大の理由は、これまで感覚的に行われがちだった採用活動を、客観的なデータに基づいて管理・改善できるようになる点にあります。
具体的な数値目標を設定することで、採用チームの進むべき方向が明確になり、より戦略的なアクションを取ることが可能になります。

ここでは、KPI設定がもたらす3つの主要なメリットについて詳しく見ていきましょう。

採用活動の課題を数値で可視化できる

採用KPIを設定する大きなメリットは、採用プロセスにおける課題や問題点を具体的な数値で可視化できることです。
「最近、良い候補者からの応募が少ない」といった主観的な感覚も、「ターゲット層からの応募者数が前月比で20%減少」のように数値で捉えることで、問題の深刻度や傾向を客観的に把握できます。

また、「内定辞退率が目標の15%を超えて25%になっている」というデータは、内定者へのフォローアップや処遇面に不具合がある可能性を示唆します。
このように、KPIは採用活動の健全性を測る健康診断のような役割を果たし、どこに改善のメスを入れるべきかを明確に示してくれます。

データに基づいた的確な改善アクションにつながる

課題が数値で明確になることで、次の打ち手を具体的に検討できるようになります。
例えば、「一次面接から二次面接への移行率が低い」というKPIの結果が出た場合、その原因として「一次面接官の評価基準が厳しすぎるのではないか」「候補者への魅力付けが不足しているのではないか」といった仮説を立てられます。

そして、面接官トレーニングを実施したり、面接での会社説明の内容を改善したりといった、的確な改善アクションを実行できます。
勘や経験だけに頼るのではなく、データという客観的な根拠に基づいて施策を打つため、採用戦略の精度が格段に向上し、PDCAサイクルを効果的に回すことが可能になります。

チーム全体の目標意識が統一され役割が明確になる

KPIは、採用に関わるメンバー全員の共通言語となり、チームの目標意識を統一する上で大きな力を発揮します。
「今月は応募者数を300人にする」「内定承諾率を80%に引き上げる」といった具体的なKPIをチームで共有することで、全員が同じゴールに向かって進むことができます。

さらに、各KPIの達成責任者を明確にすることで、それぞれの担当者が自分の役割と果たすべき成果を自覚し、主体的に行動するようになります。
これにより、チーム内の連携がスムーズになり、部署や役職を超えた協力体制も生まれやすくなるなど、組織としての一貫した採用活動が実現します。

採用KPIを正しく設定するための5つのステップ

効果的な採用KPIを設定するためには、ただやみくもに数値を決めるだけでは不十分です。
事業の目標から逆算し、現状を正確に分析した上で、段階的に目標を具体化していくプロセスが求められます。

ここでは、自社に最適化されたKPIの立て方を、5つの具体的なステップに分けて解説します。
この手順に沿って進めることで、実用的で成果につながるKPIを体系的に設定することができるでしょう。

ステップ1:事業計画から採用の最終目標(KGI)を定める

KPI設定の出発点は、会社の事業計画や経営戦略にあります。
まず、「来期に新規事業を立ち上げるため、Webマーケターを5名増員する」「3年後までに海外展開を目指すため、語学堪能な営業職を10名採用する」といった、事業目標に直結した採用の最終目標(KGI)を明確に定義します。

このKGIが、採用計画全体の根幹となります。
なぜ採用が必要なのか、どのようなスキルや経験を持つ人材が何名必要なのかを具体的に定めることで、その後のKPI設定の方向性がブレなくなり、経営層からの理解や協力も得やすくなります。

ステップ2:現状の採用プロセスを分析し歩留まり率を算出する

次に、KGI達成に向けた現状の立ち位置を把握するため、過去の採用データを分析します。
具体的には、応募から内定承諾までの各選考プロセス(例:書類選考、一次面接、最終面接など)で、候補者が次のステップに進んだ割合、すなわち「歩留まり率」を算出します。
採用管理システム(ATS)のレポート機能や、過去のデータをまとめた管理シートなどを活用して、「書類選考通過率」「一次面接通過率」「内定承諾率」などを洗い出しましょう。

この現状分析によって、自社の採用プロセスの強みと弱みが明らかになり、どの部分を重点的に改善すべきかの判断材料となります。

ステップ3:KGIから逆算してKPIツリーを作成する

定めたKGIと算出した現状の歩留まり率をもとに、最終目標から逆算して各プロセスで必要な数値を算出します。
このとき、「KPIツリー」というフレームワークを用いると便利です。
KPIツリーは、KGIを頂点に置き、それを達成するために必要な中間指標(KPI)を枝分かれさせていく形で構成します。

例えば、「採用決定数5名」というKGIに対し、内定承諾率が50%なら「内定者数10名」、最終面接通過率が50%なら「最終面接者数20名」が必要、というように計算していきます。
これにより、最終目標と日々の活動のつながりが可視化され、各KPIの重要性をチーム全体で共有できます。

ステップ4:採用チャネルごとに具体的な数値を設定する

KPIツリーで算出した全体の目標数値を、さらに採用チャネル(母集団の獲得経路)ごとに細分化します。
新卒採用と中途採用では候補者の属性や選考フローが異なるため、それぞれ分けてKPIを設定するのが一般的です。
また、求人サイト、人材紹介エージェント、リファラル採用、自社採用サイトなど、チャネルによって応募者の質や量、コストも大きく異なります。

各チャネルの過去の実績や特性を考慮し、「求人サイトAから応募100件」「リファラル経由で内定承諾2名」といった形で、より具体的でアクションにつながりやすい数値目標を設定します。

ステップ5:SMARTの法則に沿って設定内容を検証する

最後に、設定したKPIが実効性の高い目標になっているか、「SMARTの法則」というフレームワークを使って検証します。
SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限が明確)の5つの要素の頭文字です。

例えば、「頑張って応募を集める」という曖昧な目標ではなく、「3ヶ月以内に、求人媒体A経由でエンジニア職の応募を50件獲得する」といった目標がSMARTなKPIです。
既存のテンプレートなどを活用してこの5つの観点からKPIをチェックすることで、目標の曖昧さをなくし、誰にとっても明確で実行可能な指標に磨き上げることができます。

採用活動で使われる主要なKPI指標一覧

採用活動を評価するためのKPIには様々な指標が存在します。
自社の採用課題やフェーズに応じて、どの指標を重点的に見ていくかを選択することが重要です。

ここでは、採用活動を多角的に評価するため、「量」「質」「コスト」「スピード」という4つの切り口から、一般的に使われる主要なKPIの具体例を紹介します。
これらの指標を組み合わせることで、採用活動全体の健康状態をより正確に把握することが可能になります。

【量】母集団形成と採用数に関する指標

採用活動の規模や進捗を測る、最も基本的な指標群です。
採用ファネルの入り口である母集団形成から、最終的なゴールである採用決定数まで、各段階の人数を追跡します。
具体的な指標としては、「応募者数」「書類選考通過者数」「各面接の参加者数」「内定者数」「採用決定数」などが挙げられます。

これらの数値をチャネル別や募集職種別に把握することで、どの経路からの応募が多いか、どの職種の採用が順調かといった、採用活動の全体像を俯瞰的に理解することができます。
これらの量は、質やコスト、スピードを測る上での分母となる重要なデータです。

【質】選考プロセスと候補者のマッチ度を測る指標

採用は単に人数を集めるだけでなく、自社にマッチした優秀な人材を獲得することが目的です。
その「質」を測るための指標が重要になります。
代表的なものとして、各選考段階の通過率、すなわち「書類選考通過率」「面接通過率」や、「内定承諾率」「内定辞退率」といった歩留まり率があります。
これらの率が高いほど、効率的にターゲット人材にアプローチできていることを示します。

また、採用後の「入社後定着率」や「試用期間中の離職率」、さらには「活躍人材の出身チャネル」なども、採用の質を長期的な視点で評価するための重要なKPIです。

【コスト】採用活動の費用対効果を評価する指標

限られた予算の中で最大の成果を出すために、費用対効果を評価する指標は欠かせません。
最も代表的なものが、一人採用するのにかかった総費用を示す「採用単価」です。
この採用単価を、利用した求人媒体や人材紹介会社などのチャネルごとに算出することで、どの手法が最もコスト効率が良いかを判断できます。

その他にも、応募者一人を獲得するのにかかった広告費を示す「応募単価」も、広告の効果測定において重要な指標となります。
これらのコストに関するKPIは、エクセルなどの表計算ソフトでデータを管理し、定期的に分析することで、採用予算の最適化に役立ちます。

【スピード】採用活動にかかる時間を示す指標

候補者の獲得競争が激化する現代において、採用プロセスのスピードは成功を左右する重要な要素です。
このスピードを測る指標として、「採用リードタイム」があります。
具体的には、「応募から内定を出すまでの平均日数」や、「内定を出してから承諾を得るまでの平均日数」などを計測します。

選考プロセスが長引くと、優秀な候補者が競合他社に流れてしまったり、候補者の入社意欲が低下したりするリスクが高まります。
このKPIをモニタリングし、選考のボトルネックとなっている工程(例:面接日程の調整、合否連絡の遅れなど)を特定・改善することで、採用競争力を高めることができます。

設定した採用KPIを成果につなげる運用のポイント

採用KPIは、設定すること自体がゴールではありません。
それを日々の採用活動に活かし、継続的に改善サイクルを回していく「運用」こそが最も重要です。

ここでは、設定したKPIを形骸化させずに、着実に採用成果へと結びつけるためのデータ管理やチームでの運用方法など、実践的なポイントを解説します。
これらのポイントを押さえることで、KPIに基づいた戦略的な採用活動を実現できます。

採用管理システム(ATS)を活用してデータを一元管理する

複数の求人媒体やエージェントを利用していると、応募者情報や選考データが散在しがちです。
KPIを正確に計測し、効率的に管理するためには、これらのデータを一元化する仕組みが不可欠です。

採用管理システム(ATS)を導入すれば、応募者情報や選考ステータスが自動で集約され、KPIに必要な数値をリアルタイムで簡単に抽出できます。
手作業でのデータ集計にかかる工数を削減できるだけでなく、データの抜け漏れや入力ミスを防ぎ、正確な分析を可能にします。
客観的なデータに基づいた迅速な意思決定を支援する強力なツールとなります。

定期的な進捗確認と振り返りの場を設ける

KPIの進捗状況は定期的にチームで確認し振り返る機会を設けることが重要です
例えば週に一度の定例ミーティングでKPIの進捗を報告し合う場を作ります
その際には誰が見ても状況がわかるような進捗管理シートやダッシュボードを用意すると効果的です

単に数字の達成未達を確認するだけでなくなぜこのKPIが目標に届いていないのか達成できた要因は何かといった背景を深掘りしチームで知恵を出し合うことが次の改善アクションにつながります
この振り返りの習慣がチーム全体のデータ活用意識を高めます

KPIの達成状況に応じて改善策を迅速に実行する

振り返りを通じて課題が特定できたら、それを放置せず、すぐさま具体的な改善策を立てて実行に移します。
例えば、「書類選考通過率が低い」という課題に対し、「求人票の必須要件を緩和する」「スカウトメールの文面をより魅力的なものに変更する」といったアクションプランを立てます。
誰がいつまでに何を行うかを明確にし、エクセルなどでタスク管理をすると着実に実行できます。

KPIのモニタリング、課題特定、改善策の実行、そして効果検証というPDCAサイクルをスピーディーに回し続けることが、採用成果を最大化する鍵となります。

数値目標だけにとらわれず採用の質も担保する

KPIを運用する上で注意したいのが、数値目標を達成すること自体が目的になってしまうことです。
例えば、「応募者数」という量的なKPIを追い求めるあまり、ターゲットから大きく外れた候補者まで集めてしまい、結果的にその後の選考工数が増大してしまう、といった事態は避けなければなりません。
数値はあくまで採用目標を達成するための手段です。

面接の評価基準を明確にしたテンプレートを用意して面接官の目線を合わせるなど、自社が求める人物像とのマッチ度という「質」の観点を常に持ち続ける必要があります。
量と質のバランスを意識した運用が求められます。

よくあるご質問

Q1:KPIはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

A1:月次での進捗確認と振り返りを行い、四半期に一度、採用計画全体と共にKPIの妥当性を見直すのが一般的です。ただし、事業環境や採用市場が大きく変化した場合は、その都度、柔軟に目標を調整することが求められます。

Q2:採用担当者が1人しかいませんが、KPI設定は必要ですか?

A2:はい、担当者が一人の「一人人事」であってもKPI設定は非常に有効です。自身の活動を客観的な数値で振り返ることで、改善点を発見しやすくなります。また、経営層に採用活動の成果を報告する際にも、具体的なデータを用いることで説得力が増します。

Q3:達成が難しい高すぎるKPIを設定してしまいました。どうすればいいですか?

A3:まずは目標が未達になっている原因を分析します。その上で、目標達成のための追加施策(広告費の増額、新たな採用チャネルの開拓など)を検討するか、現状を踏まえて現実的な数値に目標を修正するかを判断します。状況をチームや上司と共有し、最適な方針を協議することが重要です。

Q4:どのKPIを最も重視すべきですか?

A4:最も重視すべきKPIは、その時々の企業の採用課題によって異なります。例えば、母集団形成に課題があるなら「応募者数」、内定辞退が多いなら「内定承諾率」が重要な指標になります。自社の採用プロセス全体を見渡し、最も改善インパクトが大きいと思われる箇所のKPIを優先的に設定すると良いでしょう。

Q5:KPI管理におすすめのツールはありますか?

A5:最も効率的なのは採用管理システム(ATS)の活用です。多くのATSには、KPIの自動集計やレポーティング機能が備わっています。予算的に導入が難しい場合は、ExcelやGoogleスプレッドシートでも十分に管理可能です。Web上で配布されているテンプレートを参考に、自社で管理しやすいフォーマットを作成することから始めるのも一つの手です。

まとめ

採用KPIは、感覚に頼りがちな採用活動をデータに基づいて科学的に進めるための強力なツールです。
人事担当者は、自社の事業計画と連動した採用計画を策定し、そこから逆算して適切なKPIを設定することが求められます。

重要なのは、KPIを一度設定して終わりにするのではなく、定期的に進捗をモニタリングし、課題を発見して改善アクションにつなげるというPDCAサイクルを回し続けることです。
本記事で紹介した設定ステップや運用ポイントを参考に、自社の採用活動を見直し、より戦略的で効果的な採用の実現を目指してください。

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