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営業・マーケティング

細田 侑花

採用成功事例|企業の戦略的広報・SNS活用のポイントを解説|株式会社Piic

採用成功事例

企業の採用活動において、従来の求人広告だけでは優秀な人材の確保が難しくなっています。

売り手市場が続くなか、自社の魅力を効果的に伝え、候補者から選ばれる存在になるためには、戦略的な広報活動が不可欠です。

この記事では、SNS活用やマーケティングの視点を取り入れた企業の採用成功事例を参考に、自社の採用課題を解決するための戦略や具体的な手法を解説します。

企業の採用成功事例5選から学ぶ広報戦略

多くの企業が採用に課題を抱えるなか、広報戦略を工夫することで成功を収めている事例は少なくありません。
SNSを駆使して応募者との接点を増やした企業や、オウンドメディアで企業文化を深く伝えミスマッチを防いだ企業など、その手法は多岐にわたります。
ここでは、SNS、オウンドメディア、動画、リファラル、イベントという5つの切り口から具体的な成功事例を取り上げ、自社の採用活動に取り入れられるヒントを探ります。

SNSで企業の魅力を発信し応募者数を増やした事例

あるIT企業では、Twitterを活用して社員の日常や社内イベントの様子をカジュアルに発信し、企業のリアルな雰囲気を伝えることで候補者との心理的な距離を縮めました。

また、別の企業はTikTokやYouTubeで、一見難しそうに思える業務内容をショート動画で分かりやすく解説し、特に若年層からの応募者数を大幅に増やすことに成功しています。

さらに、企業の創業ストーリーや事業にかける想いをnoteで丁寧に綴ったり、Wantedlyで社員のプロフィールを充実させたりすることで、企業の価値観に共感する質の高い候補者からのエントリーを集めた事例もあります。

これらのように、各SNSの特性を理解し、ターゲットに合わせて使い分けることが応募数の増加につながります。

オウンドメディアで情報発信を行い採用ミスマッチを防いだ事例

あるメーカー企業は、自社で運営するオウンドメディアを通じて採用ミスマッチの解消に成功しました。

従来のホームページや採用ページに掲載されている情報だけでなく、第一線で活躍する社員への詳細なインタビュー記事や、製品開発の裏側を追ったドキュメンタリーコンテンツを定期的にサイトで発信。

これにより、求職者は仕事のやりがいや厳しさ、企業のカルチャーを深く理解した上で選考に進むことができるようになりました。

結果として、企業理念や事業内容に強く共感した候補者からの応募が増え、入社後の定着率が大きく改善しました。

オウンドメディアは、時間をかけて自社の魅力を伝え、候補者との相互理解を深めるための有効な手段です。

動画コンテンツで仕事のリアルを伝えエンゲージメントを高めた事例

ある建設会社では、若手採用に苦戦していましたが、動画コンテンツの活用で状況を好転させました。

現場で働く社員の一日に密着したドキュメンタリー動画や、複数の社員による座談会形式の動画を制作し、YouTubeチャンネルで公開。テキストや写真だけでは伝わりにくい仕事のスケール感や、職場の和やかな雰囲気をリアルに届けました。

これらの動画は会社説明会でも活用され、参加した学生の企業理解を深めるきっかけとなりました。候補者が働く姿を具体的にイメージできるようになったことで、選考過程でのエンゲージメントが高まり、内定承諾率の向上という成果を上げています。

リファラル採用制度の強化で定着率を向上させた事例

あるWebサービス企業は、社員からの紹介によるリファラル採用の制度を強化することで、採用の質と定着率を向上させました。
単に紹介インセンティブを設けるだけでなく、社員が自社の魅力を友人に伝えやすいように、事業内容や福利厚生をまとめた紹介用資料を整備しました。
また、社内イベントに友人を招待できる機会を設けるなど、気軽に会社を知ってもらう工夫を凝らしました。
社員が自社の文化を正しく理解し、自信を持って紹介できるようになった結果、企業とのマッチ度が高い人材の採用に成功しました。
リファラル採用で入社した社員は、入社後のギャップが少なく、高い定着率を示しています。

独自の採用イベント開催でターゲット層へ直接アプローチした事例

あるゲーム開発会社は、優秀なエンジニアを採用するため、独自の技術勉強会を定期的に開催しました。
最新の技術トレンドをテーマにしたこのイベントには、まだ転職を考えていない潜在層も含め、多くのエンジニアが集まりました。
イベントでは、自社のエンジニアが登壇して技術的な知見を共有するだけでなく、参加者と社員が交流できる時間を設け、企業の技術力や自由な開発文化を直接アピール。
こうした取り組みを通じて、企業のファンを増やし、イベント参加者の中から優秀な人材を複数名採用することに成功しました。
不特定多数を集めるのではなく、ターゲット層に絞ったイベントを企画することが、質の高い母集団形成につながります。

今、戦略的な採用広報が重要視される2つの理由

採用広報とは、単に求人情報を公開する活動ではなく、企業のビジョンや文化、働く人の魅力などを多角的に発信し、潜在的な候補者と良好な関係を築くためのコミュニケーション活動全般を指します。

近年、この戦略的な採用広報が多くの企業で重要視されています。

その背景には、労働市場の構造的な変化と、働き手である求職者の価値観や行動の変化という、無視できない2つの大きな理由が存在します。

労働人口の減少による採用競争の激化

日本の生産年齢人口は減少の一途をたどっており、多くの業界で人材不足が深刻化しています。
特に、専門的なスキルを持つ人材や若手層の獲得競争は年々激しさを増しています。

このような状況下では、従来の求人媒体に広告を掲載して応募を待つだけの「待ち」の姿勢では、十分な母集団形成が難しくなっています。
他社に先駆けて優秀な人材にアプローチするためには、自社の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうための積極的な広報活動が不可欠です。

国内だけでなく、外国人材の採用も視野に入れる企業が増える中、企業の魅力を主体的に発信していく「攻め」の採用姿勢が求められています。

求職者の価値観や情報収集方法の変化

働き手の価値観は大きく変化し、給与や役職といった待遇面だけでなく、自己成長の機会、社会貢献性、ワークライフバランスの自由度など、企業選びの基準が多様化しています。
これに伴い、求職者の情報収集方法も変わりました。
企業の公式ホームページだけでなく、SNSでの社員の投稿、口コミサイト、ニュース記事など、あらゆる情報源から企業のリアルな姿を調べ、多角的に判断するようになっています。
そのため、企業側は様々なチャネルを通じて、一貫性のあるポジティブな情報を発信し続ける必要があります。
候補者が本当に知りたい情報をオープンに提供する姿勢が、企業の信頼性を高めることにつながります。

採用を成功に導く戦略の立て方4ステップ

効果的な採用広報を行うためには、思いつきで施策を打つのではなく、戦略的な採用計画を立てることが重要です。

自社の現状を正しく把握し、どのような人材に、何を、どのように伝えるかという採用のコンセプトを明確にすることで、活動の軸が定まります。

ここでは、採用戦略を具体的に構築していくための4つのステップを解説します。

このプロセスを着実に踏むことで、採用活動の成功確率を高めることが可能です。

STEP1:自社の現状と採用における課題を明確にする

採用戦略の第一歩は、自社の置かれている状況を客観的に把握することから始まります。自社、競合、市場を分析する3C分析などのフレームワークを用いると、現状を整理しやすくなります。

「応募者の数は多いものの、求めるスキルを持つ人材が少ない」「最終面接までは進むが、内定辞退率が高い」といった具体的な課題を洗い出しましょう。そして、なぜその課題が発生しているのか、原因を深掘りすることが肝心です。

例えば、内定辞退が多い原因が、競合他社と比較して自社の魅力が伝わっていないことにあるのかもしれません。この現状分析という手間を惜しまないことが、的確な戦略立案の土台となります。

STEP2:求める人物像(採用ペルソナ)を具体的に設定する

次に、自社が本当に必要としている人材はどのような人物なのか、その姿を具体的に描き出します。これが採用ペルソナの設定です。

例えば、新卒のエンジニアを採用する場合、「主体的に学習を進め、チームでの開発に貢献できる人物」といった抽象的な要件だけでなく、「〇〇という言語での開発経験があり、技術ブログで情報発信をしている」など、スキルや行動特性まで詳細に設定します。

中途の人材を採用する際も同様に、これまでの経験や価値観を具体的に定義します。ペルソナを明確にすることで、採用に関わるメンバー全員が共通の人物像を思い描きながら選考を進められるようになり、評価基準のブレを防ぎます。

STEP3:競合他社にはない自社独自の強みを定義する

設定したペルソナにとって、自社がどのように魅力的に映るかを考え、競合他社にはない独自の強みを言語化します。これはEVP(Employee Value Proposition:従業員価値提案)とも呼ばれます。

給与や福利厚生といった条件面だけでなく、「若手にも裁量権が与えられる文化」「社会貢献性の高い事業内容」「社員同士の仲が良く、フラットな組織風土」など、自社ならではの魅力を洗い出しましょう。

この強みは、経営層だけでなく、現場で働く様々な立場の社員にヒアリングすることで、より多角的かつ具体的に発見できます。定義した強みは、今後の採用広報活動全体を通じて、一貫して伝えていくべき中核的なメッセージとなります。

STEP4:ターゲットに響くメッセージと適切な発信方法を決める

最後に、定義した自社の強みを、設定したペルソナに最も効果的に届けるためのメッセージと発信チャネルを決定します。
ペルソナが日常的にどのような媒体から情報を得ているかを分析し、最適なプラットフォームを選びます。

例えば、若手エンジニアに訴求したいなら技術ブログや勉強会、デザイナーならポートフォリオサイトでの発信が有効かもしれません。
伝えるメッセージも、ターゲットの心に響く言葉や表現を工夫する必要があります。
単に事実を羅列した広告ではなく、社員の体験談を交えたストーリーとして語るなど、訴求方法を練り上げます。

各チャネルの特性を活かしながら、一貫したブランドイメージで情報を届ける戦略を立てます。

明日から実践できる採用広報の具体的な手法

採用戦略が固まったら、次はいよいよ具体的なアクションに移ります。
ここでは、比較的すぐに取り組むことができ、かつ効果の高い採用広報の手法をいくつか紹介します。
自社の採用サイトを充実させることから、SNSや動画の活用、候補者向け資料の作成まで、できることは数多くあります。
例えば、サーバーの知識がなくてもAWSのようなサービスを利用すれば、手軽に採用サイトを立ち上げることも可能です。
自社のリソースやターゲットに合わせて、これらの手法を効果的に組み合わせていきましょう。

採用サイトで企業の理念や文化を深く伝える

採用サイトは、求職者が能動的に企業の情報を探しに来る重要なプラットフォームです。
そのため、単なる募集要項を並べるだけでなく、企業の理念やビジョン、働く環境や文化といった、候補者が本当に知りたい情報を深く伝えるコンテンツを配置することが求められます。

例えば、社員の一日のスケジュールやキャリアパスを紹介する記事、プロジェクトの成功事例や失敗談を語るインタビューなどを掲載することで、候補者は入社後の自分を具体的にイメージしやすくなります。
特定の職種やターゲットに強く訴求したい場合は、専用の採用LPを作成し、メッセージを絞り込んで伝える手法も効果的です。
デザインや言葉遣いを含め、サイト全体で自社らしさを表現しましょう。

TwitterやInstagramなどSNSの特性を活かして発信する

SNSは、企業の人柄やリアルな日常を伝え、候補者との距離を縮めるのに非常に有効なツールです。

例えば、Twitterでは社内イベントの様子やランチ風景などを気軽に投稿することで、職場の雰囲気を伝えることができます。

また、写真や動画が中心のInstagramでは、デザイン性の高いオフィスや社員の働く姿を視覚的にアピールすることが可能です。

重要なのは、各SNSの特性とユーザー層を理解し、自社のターゲットに合ったプラットフォームで継続的に発信することです。

一方的な情報発信だけでなく、候補者からの質問に答えたり、コメントに返信したりすることで、双方向のコミュニケーションを築き、企業のファンを育てていくことができます。

採用動画で職場の雰囲気や社員の声をリアルに届ける

動画は、文字や写真だけでは伝わりにくい情報を、短時間で直感的に伝えられる強力なメディアです。

オフィスの中を歩きながら紹介する「オフィスツアー動画」や、複数の社員が本音で語り合う「座談会動画」などを制作することで、職場のリアルな雰囲気や人間関係を候補者に届けることができます。

また、代表が自らの言葉で企業のビジョンを語る動画は、候補者の共感を呼び、入社意欲を高める効果が期待できます。

制作した動画は採用サイトやSNSに掲載するだけでなく、会社説明会で上映するなど、様々な場面で活用が可能です。

コストを抑えたい場合は、スマートフォンで撮影・編集するなど、まずは手軽に始めてみるのも一つの方法です。

採用ピッチ資料で候補者が知りたい情報を網羅的に提供する

採用ピッチ資料とは、会社概要、事業内容、企業文化、働く環境、福利厚生、評価制度など、候補者が意思決定をする上で知りたい情報を網羅的にまとめた資料のことです。

これまで面接や説明会で口頭で説明していた内容を一つの資料に集約し、事前に候補者に共有します。
これにより、候補者は企業理解を深めた状態で面接に臨むことができ、面接ではより本質的な対話に時間を使うことが可能になります。

特に、給与レンジや残業時間、組織が抱える課題といった、候補者が聞きにくいけれど知りたい情報をオープンに開示することで、企業への信頼感を高める効果があります。
資料は一度作成すれば、様々な場面で活用できる資産となります。

まとめ

労働人口の減少や求職者の価値観の多様化が進む現代において、企業が優秀な人材を獲得するためには、戦略的な採用広報が不可欠です。

成功している企業は、SNSやオウンドメディア、動画といった多様なチャネルを駆使し、自社ならではの魅力をターゲットに的確に届けています。

重要なのは、まず自社の現状と課題を正確に分析し、求める人物像を明確に定義すること。その上で、ターゲットの心に響く一貫したメッセージを、最適な方法で継続的に発信していくことです。

本記事で紹介した戦略の立て方や具体的な手法を参考に、自社の採用活動を見直し、計画的な広報活動を実践することが、採用成功への確実な一歩となります。

Piicでは、採用ブランディングや採用サイト制作、採用ピッチ資料などの採用クリエイティブ支援を行っています。自社の魅力を整理し、採用活動を一歩進めたい方は、ぜひご相談ください。

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