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白石 真衣

採用人数の適切な決め方とは|新卒・中途採用の目安と計画に役立つ算出方法

採用人数の適切な決め方とは?_新卒・中途採用の目安と計画に役立つ算出方法

企業の成長戦略において、適切な採用人数を決定することは極めて重要な課題です。
感覚や前年度の実績だけで採用人数を決めてしまうと、人件費の圧迫や現場の混乱、さらには事業計画の停滞といったリスクを生み出しかねません。

この記事では、事業計画と連動した採用人数の決め方について、具体的な算出ステップや考慮すべきポイントを解説します。
新卒採用から中途採用まで、効果的な採用計画を立てるための参考にしてください。

Index

企業の成長を左右する採用人数|計画の立て方の基本

採用人数は、企業の将来を方向づける重要な経営指標の一つです。
場当たり的な採用は、採用コストの無駄遣いや組織内の人員過不足といった問題を引き起こします。

一方で、事業計画に基づいた的確な採用数を設定することで、組織の成長を加速させ、計画的な人材育成を可能にします。
企業のビジョン実現に向けて、現状分析と将来予測に基づいた論理的な採用計画を立てることが、持続的な成長の基盤となります。

採用計画と要員計画の違いとは?

要員計画とは、企業の経営目標や事業計画を達成するために、「いつ、どの部署に、どのようなスキルを持つ人材が何人必要か」を定める全社的な人員計画を指します。
これは人員配置や育成計画、人件費の予算策定の土台となるものです。

一方、採用計画は、この要員計画に基づいて算出された不足人員を補うための具体的な活動計画です。
つまり、要員計画で定められた人員構成を実現するために、「どのような人材を、何人、いつまでに、どの採用手法で確保するか」を詳細に落とし込んだものが採用計画であり、要員計画がより上位の概念に位置づけられます。

【企業規模別】新卒採用人数の平均的な目安

自社の採用人数が適正かどうかを判断する際、他社の動向は一つの参考になります。
特に新卒採用においては、企業規模によってある程度の傾向が見られます。

ただし、ここで紹介するデータはあくまで一般的な目安であり、企業の成長フェーズや業界の特性によって最適な人数は大きく異なります。
自社の状況と照らし合わせながら、客観的な指標として活用することが望ましいでしょう。

全従業員数に対する新卒採用の割合

新卒採用人数の目安として、全従業員数に対する割合が一つの指標となります。一般的に、企業の持続的な成長や組織の新陳代謝を促すためには、従業員数の3%から5%程度を毎年新卒で採用することが望ましいとされています。 例えば、従業員数が300人の企業であれば、9人から15人程度が目安となります。

ただし、これは安定期にある企業の指標であり、急成長を目指すベンチャー企業などではこの割合がさらに高くなる傾向が見られます。 自社の事業フェーズや組織の年齢構成を考慮して、適切な割合を判断する必要があります。

全採用人数に占める新卒採用の割合

採用活動全体の中で、新卒採用と中途採用のバランスをどう取るかも重要な視点です。
新卒採用は、ポテンシャルを重視した長期的な人材育成や企業文化の醸成を目的とする一方、中途採用は即戦力の確保や専門知識の導入を目的とします。

この割合は、企業の事業戦略や業界特性によって大きく変動します。
例えば、若手の育成に力を入れるメーカーでは新卒の割合が高くなる傾向があり、専門スキルが求められるIT業界などでは即戦力となる中途採用の割合が高くなることが一般的です。
自社の目指す組織像に合わせて、最適な採用ポートフォリオを構築します。

採用人数を具体的に算出する4つのステップ

採用人数は、感覚ではなくデータに基づいた論理的なプロセスで算出することが不可欠です。
ここでは、事業計画から具体的な採用人数を導き出すための4つのステップを紹介します。
この手順を踏むことで、なぜその人数が必要なのかを経営層や関係部署に対して明確に説明できるようになり、全社的な協力も得やすくなります。

客観的な根拠に基づいた採用計画は、採用活動の精度を高める第一歩です。

STEP1:事業計画から将来的に必要な人員数を把握

採用人数の算出は、中期経営計画や年度の事業計画から始めるのが基本です。
まず、計画されている新規事業の立ち上げ、既存事業の拡大、新たな拠点展開といった目標を達成するために、将来的にどれだけの人的リソースが必要になるのかを算出します。

このトップダウンのアプローチにより、会社全体の成長戦略と採用活動を直結させることが可能です。
例えば、「3年後に売上を2倍にする」という目標があれば、それを実現するために必要な営業担当者や開発エンジニアの増員数を具体的に割り出していきます。
これが、採用計画の根幹となる数字です。

STEP2:現在の組織構成から人員の過不足を分析

次に、現状の組織体制を客観的に分析します。
部署ごと、役職ごと、年齢構成などの観点から人員配置を可視化し、人員が過剰なセクションと不足しているセクションを洗い出します。
特に、特定の年齢層に人員が偏っている、次世代のリーダー候補が不足しているといった組織の構造的な課題を把握することが重要です。

また、スキルマップなどを活用して、事業計画の推進に必要なスキルを持つ人材が社内にどれだけいるかを確認し、不足しているスキルセットを特定します。
この現状分析によって、採用すべき人材の質と量の両面が明確になります。

STEP3:各部署へヒアリングを行い現場の採用ニーズを調査

トップダウンの計画と現状分析に加え、現場のリアルな声、つまりボトムアップの情報を収集することも欠かせません。
各部署の責任者に対して、今後の業務量の見通し、新規プロジェクトの予定、退職予定者の有無、そしてどのようなスキルや経験を持つ人材を求めているかなどを具体的にヒアリングします。

このプロセスを通じて、計画段階では見えなかった現場レベルでの採用ニーズを正確に把握できます。
人事部門と現場との認識のズレをなくし、採用後のミスマッチを防ぐためにも、このヒアリングは非常に重要なステップとなります。

STEP4:退職者数や異動人数を考慮して採用人数を決定

これまでのステップで算出した必要人員数に、今後の人員の変動予測を加味して最終的な採用人数を決定します。
具体的には、過去数年間のデータから年間の平均退職率を算出し、予測される退職者数を加算します。
定年退職のように確定している情報も忘れずに含めます。
同時に、社内異動によって部署間で人員が補充されるケースも考慮し、その分を差し引きます。

計算式としては、「事業計画上の必要増員数+退職予測数-社内異動による補充数」が一つの目安となります。
これにより、純粋に外部から採用する必要がある人数が確定します。

採用人数を決定する際に考慮すべき5つのポイント

算出された採用人数が現実的で実行可能な計画であるかを確認するためには、多角的な視点からの検証が必要です。
単に数字上の計算だけで決定してしまうと、採用活動の途中や入社後に問題が生じる可能性があります。

ここでは、採用人数を最終決定する前に必ず確認しておきたい5つの重要なポイントを解説します。
これらの視点を持つことで、採用計画の精度と成功確率を高めることができます。

採用したい人物像が明確になっているか

採用活動の成功は、単に計画した人数を集めることではありません。
「どのような人材を何人採用するのか」という質的な側面が極めて重要です。
求めるスキル、経験、価値観、人柄などを具体的に定義した採用ペルソナが明確になっているかを確認します。

人物像が曖昧なまま人数だけを追求すると、選考基準がぶれてしまい、結果的に自社の文化や事業に合わない人材を採用してしまうリスクが高まります。
明確な人物像は、募集から選考、そして入社後の定着まで、すべての採用プロセスの質を向上させる土台となります。

採用コストは予算内に収まっているか

採用活動には、求人媒体への掲載費、人材紹介会社への成功報酬、説明会の会場費、選考に関わる人件費など、多岐にわたるコストが発生します。
決定した採用人数を確保するために必要な費用の総額を試算し、それが事前に確保された採用予算の範囲内に収まっているかを確認しなければなりません。

一人当たりの採用単価を算出し、計画人数と掛け合わせることで、必要な予算が見えてきます。
もし予算を超過するようであれば、採用人数の見直しか、よりコスト効率の良い採用手法への切り替えを検討する必要があります。

内定辞退率を想定した人数設定か

内定を出した候補者が全員入社するとは限りません。
特に近年の採用市場では、複数の企業から内定を得る候補者が多く、一定数の内定辞退は避けられないのが実情です。

したがって、採用計画を立てる際には、過去の実績データを基にした内定辞退率をあらかじめ見込んでおく必要があります。
例えば、内定辞退率が20%で、10人の入社者が必要な場合、「10人÷(1-0.2)=12.5人」となり、約13人に内定を出す必要があると計算できます。
この想定が甘いと、最終的な入社人数が目標に届かなくなる可能性があります。

新入社員を受け入れる育成体制が整っているか

採用は人材が入社して活躍して初めて成功と言えます。
そのためには新入社員を受け入れ育成するための社内体制が整っていることが大前提です。
計画した人数を一度に採用した場合現場のOJT担当者は不足しないか研修プログラムは対応可能か十分な業務スペースやPCなどの備品は確保できるかといった受け入れキャパシティを確認します。

育成体制が不十分なまま採用人数だけを増やすと新入社員が放置されたり十分な教育を受けられなかったりして早期離職につながる原因となりかねません。

採用市場のトレンドや競合他社の動向を把握しているか

採用計画は、自社内の都合だけで完結するものではなく、外部環境である採用市場の影響を強く受けます。
有効求人倍率の動向や、競合となる他社がどのような人材を、どの程度の条件で、何人くらい採用しようとしているのかを把握することが重要です。
特に専門性の高い職種では、市場全体で人材の獲得競争が激化している場合があります。

こうした市場の状況を無視して計画を立てると、思うように母集団が集まらなかったり、優秀な人材を競合に奪われたりする可能性があります。
市場分析に基づき、現実的な採用目標を設定します。

採用目標人数に達しなかった場合の具体的な対処法

採用活動は、様々な不確定要素が絡むため、常に計画通りに進むとは限りません。
目標としていた採用人数に未達のまま採用期間が終了しそうな場合、迅速かつ効果的な対策を講じる必要があります。

事前にリカバリープランをいくつか用意しておくことで、万が一の事態にも冷静に対応できます。
ここでは、採用人数を増やすために考えられる具体的な対処法を3つ紹介します。

過去の応募者や選考辞退者に再度アプローチする

過去の採用活動で接点を持った人材のリストは貴重な資産です。
以前の選考で惜しくも不採用となった候補者や、選考の途中で辞退した優秀な人材に、改めてアプローチを試みます。
これを「タレントプール」の活用と呼びます。

候補者自身の状況やキャリアに対する考え方が変化している可能性があり、当時はタイミングが合わなかっただけでも、新たなポジションに関心を示してくれる場合があります。
一から母集団を形成するよりも効率的で、スピーディーに採用へつなげられる可能性がある有効な手段です。

採用要件のハードルを下げて募集対象を広げる

応募者が思うように集まらない場合、設定した採用要件が厳しすぎる可能性があります。
求めるスキルや経験のうち、「絶対に必要(Must)」な条件と、「あると望ましい(Want)」条件を再度見直します。
例えば、特定の資格や実務経験年数を必須条件から歓迎条件に変更したり、ポテンシャルを重視して未経験者まで対象を広げたりすることで、応募者の母集団を大きく拡大できます。

ただし、事業遂行に必要な最低限のレベルまで下げてしまうと入社後のミスマッチにつながるため、どのラインまで妥協できるかを現場部門と慎重にすり合わせる必要があります。

新たな採用チャネルや採用手法を検討する

現在利用している採用チャネルだけでは、ターゲット層に十分にアプローチできていない可能性があります。
これまで試していなかった新たな採用手法を取り入れることを検討します。
例えば、企業側から候補者に直接アプローチするダイレクトリクルーティングや、社員の紹介で候補者を集めるリファラル採用、特定の専門分野に特化した求人サイトの利用、SNSを活用した情報発信など、選択肢は多岐にわたります。

ターゲットとする人材がどこにいるのかを分析し、最も効果的なチャネルを追加で開拓することで、新たな候補者との出会いが生まれます。

よくあるご質問

Q. 中途採用の人数はどのように決めれば良いですか?

A. 基本的な算出ステップは新卒採用と同様ですが、中途採用では「欠員補充」と「事業拡大のための増員」という二つの側面が強くなります。
まず各部署の欠員状況を把握し、それに加えて新規事業や組織強化のために必要な即戦力人材の数を事業計画に基づいて算出します。

Q. 採用人数を決定するのに最適な時期はいつですか?

A. 次年度の事業計画が固まる時期に合わせて決定するのが理想的です。
一般的には、事業年度が始まる3ヶ月から半年前には採用計画の骨子を固め、具体的な採用人数を決定しておくことで、スムーズに採用活動を開始できます。

Q. ベンチャー企業やスタートアップの採用人数の目安はありますか?

A. 従業員数に対する割合よりも、事業の成長速度や資金調達の状況から逆算して決定することが多いです。
プロダクトの開発計画やサービスの拡大計画に基づき、「いつまでに、何をするために、何人必要か」という観点で、事業計画と密接に連携させながら必要な人員数を算出します。

Q. 採用人数が計画より多すぎた場合、どのようなリスクがありますか?

A. 想定以上の人件費が発生し、経営を圧迫するリスクがあります。
また、受け入れ部署の育成リソースが不足し、新入社員への教育が手薄になったり、適切な配属先が見つからず、本人のキャリア形成に支障をきたしたりする可能性も考えられます。

Q. 採用計画は一度決めたら変更しない方が良いのでしょうか?

A. いいえ、採用計画は固定的なものではなく、事業環境の変化や採用市場の動向に応じて柔軟に見直すことが重要です。
採用活動の進捗状況を定期的に確認し、目標達成が難しいと判断した場合は、計画を軌道修正するなどの対応が求められます。

まとめ

採用人数の決定は、単なる人員補充ではなく、企業の未来を形作る戦略的な活動です。
適切な採用人数を算出するためには、まず企業の事業計画から将来必要な人員数を把握し、現状の組織構成とのギャップを分析します。

その上で、現場のニーズをヒアリングし、退職や異動といった人員の変動予測を加味して最終的な人数を決定するという、データに基づいたステップが有効です。
また、算出後は採用コストや育成体制、市場動向といった複数の視点からその計画が現実的かを検証することが、採用活動の成功につながります。

「算出した採用人数を、確実に、質の高い人材で充足させるために。」

適切な採用人数が決まったら、次は「いかにその人数を、自社に最適な人材で埋めるか」が勝負です。
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