
人事・採用担当者にとって、自社にマッチした優秀な人材の確保は重要なミッションです。
しかし、労働人口の減少や働き方の多様化により、採用を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。
この記事では、新卒・中途採用を成功させるためのノウハウを、準備段階から入社後のフォローまで体系的に解説します。
各フェーズのポイントを押さえ、自社の採用活動をアップデートしていきましょう。

Index
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採用活動を始める前に押さえるべき基本フロー
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新卒・中途採用におけるスケジュール設計の違い
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採用計画から入社後フォローまでの全体像
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【準備】採用成功の基盤を作る計画策定のノウハウ
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求める人物像を具体化するペルソナ設定の手順
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採用活動に必要な予算と人員を確保する方法
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他社にはない自社の魅力を効果的に伝えるアピールポイントの見つけ方
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【母集団形成】優秀な人材と出会うための募集テクニック
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求人媒体の効果を最大化する募集要項の書き方
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採用イベントで候補者の興味を引くブース作りのコツ
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ダイレクトリクルーティングで候補者に響くスカウトメール術
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SNSを活用した採用広報で企業の認知度を高める戦略
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リファラル採用を促進させる社内制度の作り方
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【選考】ミスマッチを防ぎ、人材を見極めるノウハウ
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書類選考の通過率を改善する評価基準の設け方
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候補者の能力と人柄を見抜く面接質問の具体例
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面接官ごとの評価のバラつきをなくす工夫
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【内定後】内定辞退を防ぐ!入社意欲を高めるフォロー術
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内定者との信頼関係を築くコミュニケーションのポイント
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入社後の不安を解消する内定者向けコンテンツの提供
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早期離職を防ぐためのオンボーディングプログラム設計
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採用ノウハウについてよくあるご質問
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Q. 採用コストは平均でどれくらいかかりますか?
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Q. 中小企業で知名度がなく、応募が集まりません。
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Q. 面接で候補者の本質を見抜くコツはありますか?
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Q. 内定を出しても辞退されてしまいます。
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まとめ
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採用力は「伝え方」で変わる。応募が増える採用サイトをつくりませんか?
採用活動を始める前に押さえるべき基本フロー

採用活動とは、単に欠員を補充する作業ではなく、企業の成長を牽引する人材を獲得するための戦略的な活動です。
成功のためには、行き当たりばったりで進めるのではなく、一貫した流れを理解することが不可欠。
採用計画の立案から母集団形成、選考、そして入社後の定着支援まで、各ステップが有機的に連携して初めて成果が生まれます。
まずは、この全体像を把握することから始めましょう。
新卒・中途採用におけるスケジュール設計の違い
新卒採用は、経団連の指針などに基づき、広報活動、選考、内定出しの時期がある程度決まっているため、年間を通した長期的な計画が必要です。
多くの学生が一斉に就職活動を開始するため、計画的な母集団形成や選考プロセスが求められます。
一方、中途採用は、事業計画上の増員や急な欠員補充など、企業のニーズに応じて通年で行われることがほとんどです。
転職希望者の活動期間は個人差が大きく、スピーディーな選考と意思決定が採用成功の鍵を握ります。
採用計画から入社後フォローまでの全体像
企業の採用活動は、複数のステップで構成される一連のプロセスです。
まず採用計画で求める人物像や採用人数、予算を策定します。
次に母集団形成で候補者を集め、選考でスキルやカルチャーフィットを見極めます。
そして内定・内定者フォローで入社意欲を高め、内定辞退を防ぎます。
採用はゴールではなく、入社した社員が定着し活躍する入社後フォローまでが一つのサイクルです。
これら全ての段階で一貫性を持った戦略を実行することが、企業の持続的な成長に結びつきます。
【準備】採用成功の基盤を作る計画策定のノウハウ

採用活動の成否は、準備段階でその大半が決まるといっても過言ではありません。
場当たり的な募集を始める前に、自社がどのような人材を、なぜ必要としているのかを深く掘り下げ、明確な計画を立てることが成功への最短ルートです。
この段階で採用の軸をしっかりと固めることで、その後のプロセスにおける判断のブレを防ぎ、ミスマッチのない採用を実現できます。
求める人物像を具体化するペルソナ設定の手順
採用におけるペルソナとは、求める人物像をスキルや経験だけでなく、価値観や志向性、ライフスタイルまで含めて具体的に描き出した架空の人物モデルです。
設定することで、採用チーム内での認識のズレを防ぎ、求人原稿やスカウトメールの訴求力を高める効果があります。
例えば、エンジニアを採用する場合、「特定のプログラミング言語経験3年以上」という要件だけでなく、「新しい技術の習得に意欲的で、チームでの知識共有を厭わない人物」といった内面まで具体化します。
現場のハイパフォーマーを参考に設定するのが効果的です。
採用活動に必要な予算と人員を確保する方法
採用予算には、求人広告費、人材紹介サービスの成功報酬、説明会の会場費、採用管理システム(ATS)の利用料などが含まれます。
過去の実績や採用目標人数から必要な費用を算出し、経営層に根拠を示して承認を得る必要があります。
採用は人事部だけで完結するものではないため、現場の面接官やリクルーターなど、協力してくれる人員の確保も不可欠です。
特に知名度がない企業の場合は、高額な広告に頼るだけでなく、コストを抑えやすいリファラル採用やダイレクトリクルーティングに人員を割くといった戦略的なリソース配分が求められます。
他社にはない自社の魅力を効果的に伝えるアピールポイントの見つけ方
採用市場において、給与や福利厚生といった条件面だけで他社と差別化を図るのは困難です。
転職希望者に選ばれるためには、自社ならではの独自の魅力を発掘し、言語化する必要があります。
そのために、経営理念や事業の将来性、仕事のやりがい、共に働く仲間の魅力、独自の制度や文化といった観点から自社を分析します。
現役社員へのインタビューやワークショップを実施し、「なぜこの会社で働き続けているのか」という生の声を集めるのも有効です。
これらの要素を組み合わせ、一貫したストーリーとして伝えることで、候補者の共感を呼びます。
【母集団形成】優秀な人材と出会うための募集テクニック

採用計画でターゲットが明確になったら、次は自社に興味を持ってくれる候補者、すなわち母集団を形成する段階です。
従来の求人サイトへの掲載だけに頼るのではなく、企業の知名度や採用したい職種に合わせて、複数の手法を戦略的に組み合わせることが重要になります。
攻めの採用手法も積極的に取り入れ、潜在的な候補者層にもアプローチすることで、より質の高い母集団の形成が可能になります。
求人媒体の効果を最大化する募集要項の書き方
募集要項は、単なる業務内容と応募資格のリストではありません。
候補者が最初に見る企業の顔であり、応募意欲を左右する重要なコンテンツです。
設定したペルソナに向けて語りかけるように、具体的な業務内容や仕事のやりがい、入社後に得られるスキルやキャリアパスを魅力的に記述します。
チームの雰囲気や企業の文化が伝わるような言葉を選ぶことも大切です。
また、募集要項と合わせて会社説明のセミナー動画のURLを掲載するなど、候補者がより深く企業を理解できる情報を提供することで、応募の質を高めることができます。
採用イベントで候補者の興味を引くブース作りのコツ
多くの企業が出展する合同説明会などの採用イベントでは、数多くのブースの中から自社に興味を持ってもらうための工夫が欠かせません。
まずは、企業のロゴやコーポレートカラーを効果的に使い、遠くからでも何の会社か分かるような視認性の高いデザインを採用することが基本です。
ただパンフレットを置くだけでなく、社員が働く様子の写真を大きく使ったり、製品やサービスを実際に体験できるコーナーを設けたりすると、候補者の足を止めやすくなります。
立ち寄りやすいオープンな雰囲気作りと、明るく元気な声かけも重要な要素です。
ダイレクトリクルーティングで候補者に響くスカウトメール術
ダイレクトリクルーティングは、企業側から候補者に直接アプローチする攻めの採用手法です。
成功の鍵は、一斉送信のテンプレート文ではなく、候補者一人ひとりに合わせた「あなただから連絡した」という特別感が伝わるスカウトメールを作成することです。
候補者の職務経歴書を丁寧に読み込み、どの経験やスキルに魅力を感じたのかを具体的に記載します。
その上で、自社のどのポジションでその能力を活かせそうかを提案し、まずはカジュアルな面談からどうかと打診することで、心理的なハードルを下げ、返信率を高めることができます。
SNSを活用した採用広報で企業の認知度を高める戦略
X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSは、企業のリアルな日常や社風を伝えるのに非常に有効なツールです。
例えば、社員インタビュー記事を投稿したり、オフィス内の様子を動画で紹介したり、社内イベントの写真をアップしたりすることで、求人サイトだけでは伝わらない働く人々の魅力や組織の温度感を伝えることができます。
重要なのは、ターゲットとする候補者層が多く利用するプラットフォームを選び、継続的に情報を発信することです。
コメントや質問には積極的に返信するなど、双方向のコミュニケーションを心がけることで、企業のファンを増やしていけます。
リファラル採用を促進させる社内制度の作り方
リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人を紹介してもらう採用手法です。
社員からの紹介であるため、カルチャーフィットしやすく定着率が高い傾向にあり、採用コストを抑えられるというメリットがあります。
この制度を活性化させるためには、社員が積極的に協力したくなるような仕組みづくりが不可欠です。
紹介してくれた社員や入社してくれた知人に対してインセンティブ(報奨金)を支給する制度を設け、その内容を社内に広く周知します。
また、紹介の手順を簡略化し、どのような人材を求めているかを常に明確に共有することも、社員の協力意欲を高めます。
【選考】ミスマッチを防ぎ、人材を見極めるノウハウ

母集団形成に成功したら、次はその中から自社に最もマッチする人材を見極める選考段階に入ります。
選考は、企業が候補者を評価するだけの場ではなく、候補者からも企業が評価される場です。
スキルや経験はもちろんのこと、企業の文化や価値観に合うかどうかの見極めが、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的な活躍につながります。
面接官のスキル向上のための研修を行うなど、選考プロセス全体の質を担保する意識が求められます。
書類選考の通過率を改善する評価基準の設け方
書類選考で候補者を適切に評価し、会うべき人材を見逃さないためには、明確で統一された評価基準が不可欠です。
まず、採用したい人物像(ペルソナ)に基づいて、応募者に求めるスキルや経験を「必須条件」と「歓迎条件」に分け、リストアップします。
この基準を評価シートに落とし込み、選考担当者全員で共有することで、担当者の主観による評価のブレを最小限に抑えることができます。
基準が明確であれば、選考プロセスが迅速化し、候補者を次のステップへスムーズに案内できるため、機会損失の防止にもつながります。
候補者の能力と人柄を見抜く面接質問の具体例
面接では、候補者の過去の行動から未来の活躍を予測するための質問が有効です。
例えば、「過去の仕事で、最も困難だった課題は何ですか?その課題にどのように取り組み、どのような結果になりましたか?」といった質問は、候補者の問題解決能力や行動特性を具体的に把握するのに役立ちます。
これはSTARメソッドと呼ばれる手法です。
また、「どのような組織文化の中で働くことにやりがいを感じますか?」といった質問は、候補者の価値観や人柄を理解し、自社のカルチャーとの相性を見極める上で参考になります。

面接官ごとの評価のバラつきをなくす工夫
複数の面接官が選考に関わる場合、評価基準が曖昧だと「一次面接は通過したのに、二次面接では評価が全く違った」という事態が起こり得ます。
こうした評価のバラつきは、候補者に不信感を与え、採用の機会損失につながります。
対策として、まず評価項目や評価基準を明記した共通の「面接評価シート」を導入します。
さらに、面接前には面接官同士で今回の募集ポジションで重視する点についてすり合わせを行い、目線を統一します。
面接官向けのトレーニングを実施し、質問の仕方や評価のポイントを標準化することも効果的です。
【内定後】内定辞退を防ぐ!入社意欲を高めるフォロー術

内定通知は採用活動のゴールではありません。
むしろ、ここからが入社意思を固めてもらうための重要な期間の始まりです。
特に優秀な人材は複数の企業から内定を得ているケースが多く、内定から入社承諾までの間にいかに丁寧なフォローができるかが、最終的な採用成功を左右します。
内定者の不安を取り除き、自社で働くことへの期待感を醸成するための、きめ細やかなコミュニケーションが求められます。
内定者との信頼関係を築くコミュニケーションのポイント
内定者フォローで最も重要なのは、事務的な連絡だけでなく、人間的なつながりを構築することです。
担当者から定期的に電話やメールで連絡を取り、近況を尋ねたり、疑問点がないかを確認したりする姿勢が安心感につながります。
また、配属予定先の先輩社員との食事会や、他の内定者と交流できる懇親会を設定するのも効果的です。
これにより、入社前に職場の雰囲気を知ることができ、同期とのつながりも生まれるため、内定者の入社へのモチベーションを高めることができます。
小さなことでも気軽に相談できる関係性を築くことが大切です。
入社後の不安を解消する内定者向けコンテンツの提供
内定者は入社までの期間、「新しい環境に馴染めるだろうか」「仕事についていけるだろうか」といった様々な不安を抱えています。
こうした不安を解消するために、内定者専用のWebサイトやSNSグループを作成し、有益な情報を提供することが有効です。
例えば、入社後の研修スケジュールや1日の仕事の流れ、先輩社員のインタビュー記事、社内用語集などをコンテンツとして用意します。
入社後の姿を具体的にイメージできる情報を提供することで、漠然とした不安が期待へと変わり、スムーズな入社の準備を後押しします。
早期離職を防ぐためのオンボーディングプログラム設計
オンボーディングとは、新入社員が入社後に組織へスムーズに溶け込み、早期に戦力化するための体系的な受け入れ・育成プログラムです。
入社直後の研修だけでなく、配属後の数ヶ月間にわたって計画的に実施されます。
具体的には、業務指導を行うトレーナー役の先輩社員とは別に、精神的なサポートや他部署との橋渡し役となるメンターを任命する制度が有効です。
また、上司との定期的な1on1ミーティングを設定し、業務の進捗確認だけでなく、困っていることや悩みを気軽に相談できる場を設けることで、孤立を防ぎ、早期離職のリスクを低減させます。
採用ノウハウについてよくあるご質問
Q. 採用コストは平均でどれくらいかかりますか?
A. 採用手法や職種によって大きく異なりますが、一般的に新卒採用では一人あたり約90万~100万円、中途採用では一人あたり約100万~120万円が目安と言われています。
ただし、これはあくまで平均値であり、自社の採用目標に合わせて適切な予算計画を立てることが重要です。
Q. 中小企業で知名度がなく、応募が集まりません。
A. 大企業と同じ方法では応募を集めるのは困難です。
自社の強みや働く魅力を明確にし、ニッチな求人サイトや地域のハローワークを活用しましょう。
また、社員の紹介で採用するリファラル採用や、SNSでの地道な情報発信も有効な手段です。
Q. 面接で候補者の本質を見抜くコツはありますか?
A. 表面的な回答で終わらせず、具体的なエピソードを深掘りする質問が有効です。
「なぜそう考えたのですか?」「その時、具体的にどう行動しましたか?」といった質問を重ねることで、候補者の思考プロセスや行動特性が見えてきます。
複数の面接官で多角的に評価することも見極めの精度を高めます。
Q. 内定を出しても辞退されてしまいます。
A. 内定後のフォローが鍵となります。
内定通知後、放置せずに定期的に連絡を取り、先輩社員との面談や懇親会を企画するなど、内定者との接点を持ち続けましょう。
入社への不安を解消し、歓迎している姿勢を伝えることが内定辞退の防止につながります。
Q. これから採用活動を始めるのですが、何から手をつければいいですか?
A. まずは「採用計画の策定」から始めましょう。
「なぜ人を採用するのか」「どのようなスキルや人物像の人材が必要なのか」を明確にすることが全ての土台となります。
目的がはっきりすれば、どのような採用手法を選ぶべきか、どのようなメッセージで訴求すべきかが見えてきます。
まとめ
採用活動を成功させるためには、計画、母集団形成、選考、内定後フォローといった各フェーズで適切なノウハウを実践することが不可欠です。
まず、自社に必要な人材像を明確にする「計画」を立て、そのターゲットに響く方法で「母集団形成」を行います。
次に、客観的な基準に基づいた「選考」でミスマッチを防ぎ、入社直前まで丁寧な「内定後フォロー」を続けることで、内定辞退を防止します。
新卒と中途、また企業の規模や知名度によって最適なアプローチは異なります。
本記事で紹介したノウハウを参考に、自社の課題に合わせた採用戦略を構築し、継続的に改善していくことが採用力の強化につながります。
採用力は「伝え方」で変わる。応募が増える採用サイトをつくりませんか?
採用がうまくいかない理由の多くは、
「求職者に魅力が正しく伝わっていない」ことにあります。
Piicの採用サイト制作は、
単なるデザインではなく “採用戦略から設計するサイト”。
- 求める人物像(ペルソナ)設計
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