
企業の顔とも言えるキャッチコピーは、自社の魅力や理念を瞬時に伝える力を持っています。
この記事では、なぜキャッチコピーが重要なのかという基本的な意味から、具体的な作り方のステップまでを解説します。
誰もが知る大手企業や有名企業のキャッチコピーを名作例として多数紹介し、自社のキャッチフレーズを考えるヒントを探ります。
大企業の成功例を参考に、記憶に残り、心を動かす言葉を生み出す方法を学びましょう。

Index
-
なぜ企業のキャッチコピーは重要?社内外に与える影響を解説
-
企業のブランドイメージを形作り、顧客の信頼を獲得する
-
消費者の心を掴み、商品やサービスの購買を後押しする
-
従業員のモチベーションを高め、企業理念を組織に浸透させる
-
キャッチコピーと混同しやすい関連用語との違い
-
スローガン:企業の理念や行動指針を示す言葉
-
タグライン:ブランドの価値や本質を端的に表す言葉
-
広告コピー:ターゲットの行動を促すための宣伝文句
-
【業界別】記憶に残る有名企業のキャッチコピー事例集
-
【自動車メーカー編】企業の哲学が伝わるキャッチコピー5選
-
【IT・通信業界編】未来の可能性を感じさせるキャッチコピー5選
-
【食品・飲料メーカー編】思わず手に取りたくなるキャッチコピー5選
-
【アパレル・化粧品業界編】自分らしさを応援するキャッチコピー5選
-
【金融・インフラ業界編】安心と信頼を届けるキャッチコピー5選
-
【テーマ別】心を動かす名作キャッチコピー事例集
-
思わずクスッとなるユーモアあふれるキャッチコピー
-
情景が目に浮かぶエモーショナルなキャッチコピー
-
短い言葉で商品の魅力を伝える秀逸なキャッチコピー
-
心に響くキャッチコピーを生み出すための3ステップ
-
Step1:「誰に」「何を」伝えたいのかターゲットを明確にする
-
Step2:自社の独自の強みや提供できる価値を洗い出す
-
Step3:読者の心に刺さる言葉を選ぶためのテクニックを活用する
-
まとめ
なぜ企業のキャッチコピーは重要?社内外に与える影響を解説

企業のキャッチコピーとは、事業内容や理念、提供する価値を短い言葉で表現したものです。その意味は単なる宣伝文句にとどまりません。
優れたキャッチコピーは、社外に対してはブランドイメージを確立し、社内に向けては組織の一体感を醸成する羅針盤のような役割を果たします。企業の進むべき方向性を示し、関わるすべての人々の意識を束ねる力を持つため、その存在は非常に重要です。
企業のブランドイメージを形作り、顧客の信頼を獲得する
キャッチコピーは、企業のブランドイメージを形成する上で中心的な役割を担います。
ロゴやシンボルマークと同様に、企業の「顔」として機能し、消費者がその企業をどのように認識するかに大きな影響を与えます。
一貫したメッセージを発信し続けることで、企業が提供する価値や世界観が顧客に浸透し、独自のブランドイメージが構築されていきます。
優れたキャッチコピーは、マーケティング活動全体に統一感をもたらし、企業と顧客との間に長期的な信頼関係を築く土台となります。
顧客は、その言葉に共感することで企業に親近感を抱き、製品やサービスを選ぶ際の安心材料とします。
消費者の心を掴み、商品やサービスの購買を後押しする
キャッチコピーは、消費者の感情に直接働きかけ、購買意欲を刺激する力を持っています。商品やサービスの機能的な価値を説明するだけでなく、それを利用することで得られる未来や体験を想起させ、顧客の心を掴みます。
例えば、商品の持つ独自の魅力を端的な言葉で表現することで、競合との差別化を図り、消費者の記憶に強く残ります。広告や店頭でその言葉に触れたとき、消費者は無意識のうちにその商品を思い出し、手に取るきっかけになることも少なくありません。
このように、キャッチコピーは単なる言葉ではなく、消費者の購買行動を具体的に後押しするマーケティングツールとして機能します。
従業員のモチベーションを高め、企業理念を組織に浸透させる
キャッチコピーの役割は、社外へのアピールだけではありません。
社内に向けて企業の目指す方向性や価値観を明確に示すことで、従業員の行動指針となります。
自社が社会に対してどのような価値を提供しようとしているのかを簡潔な言葉で共有することで、従業員一人ひとりの仕事に対する誇りやモチベーションを高める効果が期待できます。
また、採用活動においても、企業の理念や文化を伝える重要なツールとして機能します。
就活中の学生はキャッチコピーを通して企業の姿勢を理解し、共感することで入社意欲を高めるため、組織全体の一体感を醸成し、理念を浸透させる上で不可欠な要素です。
キャッチコピーと混同しやすい関連用語との違い

キャッチコピーを考える際、「スローガン」や「タグライン」といった類似した言葉との違いを理解しておくことが重要です。
これらはすべて企業のメッセージを伝える役割を持ちますが、使用される場面や目的が異なります。
それぞれの言葉が持つ意味と役割を正しく把握することで、より効果的に自社のメッセージを設計し、ターゲットに的確に届けることが可能になります。
スローガン:企業の理念や行動指針を示す言葉
スローガンは、企業が掲げる理念や社会に対する姿勢、あるいは組織としての行動指針を長期的な視点で表す言葉です。
キャッチコピーが特定のキャンペーンや商品に使われることが多いのに対し、スローガンはより普遍的で、企業の根幹にある価値観を示します。そのため、時代が変わっても簡単には変更されず、企業の憲法のような役割を担うこともあります。
社内向けのメッセージとして従業員の意識統一を図る目的で使われるケースも多く、企業文化を形成する上で重要な要素となります。顧客や社会に対して、企業の揺るぎない信念を伝える役割を果たします。
タグライン:ブランドの価値や本質を端的に表す言葉
タグラインは、企業やブランドの持つ価値や本質を、非常に短く象徴的な言葉で表現したものです。
多くの場合、企業のロゴとセットで表示され、そのブランドが何であるかを瞬時に伝える役割を担います。
キャッチコピーやスローガンよりもさらに短いフレーズで、ブランドのアイデンティティを凝縮しています。
例えば、製品パッケージや広告の最後に必ず添えられることで、消費者の記憶にブランドイメージを刷り込んでいきます。
タグラインは、ブランドの「約束」とも言えるものであり、企業が顧客に提供する中核的な価値を端的に示します。
広告コピー:ターゲットの行動を促すための宣伝文句
広告コピーは、特定の広告キャンペーンやプロモーションのために作られる宣伝文句です。
その主な目的は、ターゲットとなる消費者に具体的な行動、例えば商品の購入、ウェブサイトへの訪問、問い合わせなどを促すことにあります。
そのため、キャッチコピーやスローガンよりも直接的で、期間限定のメッセージであることが多いのが特徴です。
新商品の発売やセールイベントなど、特定の目的に合わせて作成され、消費者の興味を引きつけ、即時的な反応を得ることを狙います。
広告コピーは、マーケティング戦略における戦術的な役割を担う言葉と言えます。
【業界別】記憶に残る有名企業のキャッチコピー事例集
優れたキャッチコピーは、業界の特性や企業の個性を反映しています。
ここでは、様々な業界の有名企業が掲げるキャッチコピーを一覧で紹介します。
各社がどのようなメッセージで自社の価値を伝え、消費者の心を掴んでいるのかを見ることで、自社のコピーを考える上でのヒントが見つかるかもしれません。
業界ごとの表現の違いや共通点にも注目してみてください。
【自動車メーカー編】企業の哲学が伝わるキャッチコピー5選
自動車メーカーのキャッチコピーは、単なる移動手段を提供する製造業という枠を超え、企業の哲学や未来へのビジョンを色濃く反映しています。移動が人々の生活に密接に関わるからこそ、各社は技術力だけでなく、顧客の人生に寄り添う姿勢を言葉に込めています。
ここでは、企業の哲学が伝わるキャッチコピーを5つご紹介しましょう。
1.トヨタ自動車「Start Your Impossible」
トヨタ自動車のこのスローガンは、「すべての人に移動の自由を」という壮大な目標を掲げ、モビリティカンパニーとしての新たなチャレンジを示しています。「あなたができないと思っていることを、始めてみよう」という意味も込められ、人々がそれぞれの可能性に挑戦できる社会を支援する、トヨタの強い決意が伝わってきます。
2.日産自動車「やっちゃえNISSAN」
日産自動車のこのキャッチコピーは、同社の果敢な挑戦と革新的な精神を象徴しています。「やっちゃえ」という言葉は、従来の枠にとらわれず、新しい技術やアイデアを積極的に追求する姿勢を力強く表現し、挑戦を恐れない企業文化を感じさせます。
3.本田技研工業「The Power of Dreams」
本田技研工業(Honda)は、「夢の力」を信じ、世界中の人々に喜びと感動を提供することを目指しています。創業者の「夢」から生まれた同社の多様な製品群は、この言葉の通り、人々の夢を形にする技術と情熱の結晶です。 4.SUBARU「安心と愉しさを」:SUBARUのキャッチコピーは、安全性能への徹底したこだわりと、運転することの楽しさという、二つの価値を明確に打ち出しています。シンメトリカルAWDやアイサイトなど、SUBARU独自の技術が、この「安心と愉しさ」を具体的に支える基盤となっています。
5.マツダ「Zoom-Zoom」
マツダの「Zoom-Zoom」は、子供が車の真似をして遊ぶときの擬音から生まれた、感性豊かなキャッチコピーです。単なる移動だけでなく、運転する喜びや楽しさを追求するマツダのクルマづくりの姿勢を象徴し、乗る人の心を躍らせる体験を提供しようという、同社の情熱が込められています。
これらのキャッチコピーからは、各自動車メーカーが品質へのこだわりだけでなく、顧客との長期的な関係性を築こうとする強い哲学と、持続可能な社会への貢献を目指す姿勢が伝わってきます。
【IT・通信業界編】未来の可能性を感じさせるキャッチコピー5選
IT・通信業界におけるキャッチコピーは、常に進化を続けるit技術が未来にもたらす可能性や、複雑な社会課題に対するソリューションを提示するものが多く見られます。目に見えないサービスや専門的な技術を扱う特性上、それらが人々の生活やビジネスをいかに豊かにするかを、未来への期待感を込めて分かりやすく伝えることが求められます。
ここでは、未来の可能性を感じさせる魅力的なキャッチコピーを5つご紹介しましょう。
1. リクルート「まだ、ここにない、出会い。」
情報サービスを通じて、まだ見ぬ新しい価値やfutureを創造するという、リクルート社の先駆的な姿勢を象徴しています。これは、既存の枠にとらわれず、常に新たな「出会い」を創出することで、人々の生活や社会に貢献しようとするit企業の強い意志を感じさせる言葉です。
2. NTTドコモ「手のひらに、未来を。」
スマートフォンが生活の中心となった現代において、常に進化し続ける通信技術が、私たちの日常にどのような未来をもたらすかを端的に表現しています。これは、ユーザーの生活とit技術が密接に結びついていることを示唆し、手のひらから広がる無限の可能性とソリューションを提示しています。
3. ソフトバンク「情報革命で人々を幸せに。」
ソフトバンクグループの企業理念でもあるこの言葉は、情報技術の力で世界を変え、人々の幸福に貢献するという明確なビジョンを示しています。壮大なスケールでfutureへの期待感を抱かせ、it技術が単なるツールではなく、社会変革の原動力であることを強く訴えかけています。
4. Google「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること。」
膨大な情報の海から、必要なソリューションを誰もが手に入れられるようにするというGoogleの使命が明確に伝わります。これは、情報技術による未来の社会貢献を力強く表現しており、itの力で世界中の知識が共有され、活用される社会の実現を目指すというビジョンが込められています。
5. サイボウズ「チームワークあふれる社会を創る。」
サイボウズが提供するグループウェアが、個人の働き方だけでなく、組織全体の生産性と幸福に貢献することを示唆しています。itツールがもたらす円滑な人間関係と未来の働き方を想起させ、多様な働き方が求められる現代において、協調性や連携がもたらす新たなソリューションを提示しています。
【食品・飲料メーカー編】思わず手に取りたくなるキャッチコピー5選
食品・飲料メーカーのキャッチコピーは、消費者の五感や感情に直接訴えかける言葉が特徴です。健康的な食生活や楽しい食卓といった価値を伝えるものが多く見られます。お菓子や飲料といった日常的な食品だからこそ、キャッチコピーは消費者の記憶に残り、店頭で思わず手に取らせる力を持つ必要があります。メーカー各社は、短い言葉に食の喜びや安心感を凝縮させていますが、ここでは思わず手に取りたくなる食品・飲料メーカーのキャッチコピーを5つご紹介しましょう。
1.味の素「EatWell,LiveWell.」
単なる食品提供にとどまらず、「よく食べて、よく生きる」という健康的なライフスタイルを提案しています。このキャッチコピーは、消費者の心に響くような、食事を通じて得られる幸福感と健康を結びつけています。
2.サントリー「水と生きる」
飲料メーカーとしての根幹である「水」の重要性を伝え、企業としての社会貢献や自然との共生を表現しています。この言葉は、サントリーが提供する製品だけでなく、企業全体の理念と責任を明確に示しています。
3.カルビー「掘り出そう、自然の力。」
ポテトチップスなどの身近な食品であるお菓子を通して、素材の良さや自然の恵みを強調し、消費者へ安心感を与えています。このキャッチコピーは、原材料へのこだわりを伝えることで、信頼感を醸成しています。
4.明治「健康にアイデアを」
食品を通じて人々の健康を支えるというメーカーとしての使命と、常に新しい価値を創造する企業姿勢を示しています。この言葉は、既存の枠に囚われない革新的な製品開発への意欲を感じさせます。
5.コカ・コーラ「さあ、コークと。」
特定の商品名と結びつけ、人々の日常に溶け込むような親しみやすい誘いかけで、飲むシーンを想起させます。このキャッチコピーは、化粧品のように個人に寄り添うメッセージではなく、誰もが楽しめる共有の体験を提案しています。
【アパレル・化粧品業界編】自分らしさを応援するキャッチコピー5選
アパレル・化粧品業界では、顧客一人ひとりの個性や「自分らしさ」を尊重し、応援するメッセージを込めたキャッチコピーが目立ちます。この業界の製品は、人の外見だけでなく内面にも影響を与えるため、単なる機能性を超えた価値提供が求められます。消費者はキャッチコピーに共感することで、そのブランドが自分のライフスタイルや価値観に合っていると感じ、製品を選ぶようになります。ここでは、具体的なキャッチコピーの例を5つご紹介しましょう。
1.花王「きれいをこころに未来に」
美しさがもたらす前向きな気持ちや、持続可能な社会への貢献といった、より広い視野での価値観を示しています。花王は、単に外見を磨くだけでなく、内面の豊かさや社会的な意義も同時に追求するメッセージを打ち出しています。
2.資生堂「一瞬も一生も美しく」
日々の生活の中での美しさだけでなく、人生全体を通じた美しさを追求するという、長期的な視点での価値提供を表現しています。年齢を重ねても自分らしく輝き続けたいという人々の願いに寄り添うメッセージです。
3.ユニクロ「LifeWear」
人々の生活をより豊かにする究極の普段着を目指すというブランドコンセプトを端的に示しています。機能性とデザイン性を兼ね備え、あらゆる人々のライフスタイルに寄り添うという姿勢が伝わります。
4.SK-II「運命を、変えよう。」
肌を変えるだけでなく、それによって自信を持ち、人生を前向きに変えていこうという力強いメッセージです。高価格帯の化粧品だからこそ、単なる製品効果以上の価値を提供することを示唆しています。
5.ワコール「愛するわたしへ。Love your moment.」
ワコールは2024年秋冬シーズンより、「愛するわたしへ。Love your moment.」を新たなブランドメッセージとして掲げ、リブランディングを実施しています。このメッセージは、「下着が持つ力」を再定義し、美しさを作るブランドから「新しい自分、可能性」との出会いを作るブランドへと生まれ変わるという意図が込められています。一日のはじまりに下着を選ぶ時間が、自分を見つめ、自分を愛せるかけがえのない瞬間になるようにという願いが表現されています。
【金融・インフラ業界編】安心と信頼を届けるキャッチコピー5選
金融や建設、エネルギーといったインフラ業界のキャッチコピーは、「安心」と「信頼」を最も重要なテーマとしています。これらの業界が提供するサービスは、私たちの生活や社会の基盤を支えるものであり、顧客との長期的な信頼関係が事業の根幹をなすからです。そのため、企業の誠実さや堅実さ、社会への貢献といった姿勢をストレートに伝える言葉が選ばれる傾向にあります。
ここでは、安心と信頼を届けるキャッチコピーを5つご紹介いたします。
1. 積水ハウス「家に帰れば、積水ハウス。」
このキャッチコピーは、家が単なる建物ではなく、家族の温かさや安らぎが感じられる場所であることを強調しています。建設業としての高い技術力と品質への自信を背景に、住む人の心に寄り添う企業姿勢が伝わってきます。
2. 東京ガス「暮らしと安らぎを、もっと。」
エネルギー供給という社会インフラを担う東京ガスは、ガスという物質的なものだけでなく、それによってもたらされる豊かな暮らしや心の安らぎといった情緒的な価値を訴求しています。生活に不可欠なサービスだからこそ、安全と快適さを追求する企業の使命感が感じられます。
3. 三井住友銀行「未来を、ひらく。」
金融機関として、顧客の資産形成や企業の成長をサポートする役割を担う三井住友銀行は、単なる資金提供にとどまらず、顧客の未来を切り開くパートナーとしての存在意義を表現しています。信頼性の高いサービスを通じて、新たな可能性を創造するという決意が込められています。
4. 日本生命「みらいに強く、やさしく。」
保険という「まさか」に備えるサービスを提供する日本生命は、未来への強さと優しさという二つの側面から顧客の安心を追求しています。顧客の人生に寄り添い、困難な時にも支えとなる存在であることを示唆しています。
5. 鹿島建設「建築は、未来を描く。都市を拓く。」
建設業の鹿島建設は、建物や都市を創り出すことが、社会の未来を描き、新たな可能性を切り拓くことであるという壮大なビジョンを掲げています。単なる「建設」を超え、社会貢献という高い志が表現されています。 これらのキャッチコピーは、派手さはありませんが、企業の揺るぎない使命感を表現することで、顧客に安心感を与え、社会にとって不可欠な存在であることを示しています。企業の責任と覚悟が、その短い言葉の中に込められているのです。
【テーマ別】心を動かす名作キャッチコピー事例集

企業の想いや商品の魅力を伝える方法は一つではありません。
ここでは、表現のテーマ別に、人々の心を動かす良いキャッチコピーの名作例を紹介します。
ユーモアで笑いを誘うもの、情景が目に浮かぶような感動的なもの、そして短い言葉で本質を突くものなど、様々なアプローチがあります。
どのような表現がターゲットの心に響くのか、そのヒントを探ってみましょう。
思わずクスッとなるユーモアあふれるキャッチコピー
ユーモアあふれるキャッチコピーは、堅くなりがちな企業のイメージを和らげ、顧客に親近感を与える効果があります。
ロッテの「お口の恋人」というキャッチコピーは、お菓子という日常にある製品がもたらす甘い喜びや、心ときめく瞬間を「恋人」というユニークな表現で示しており、思わずクスッとさせられる面白さがあります。
このように、ユーモアを交えたキャッチコピーは、消費者の記憶に残りやすく、ブランドに対するポジティブな印象を形成するのに役立ちます。意外な言葉の組み合わせや、遊び心のある表現は、SNSなどで話題になるきっかけにもなります。
情景が目に浮かぶエモーショナルなキャッチコピー
人の感情に訴えかけるエモーショナルなキャッチコピーは、深い共感を生み出し、ブランドと顧客との間に強いつながりを築きます。
例えば、キユーピーの「愛は食卓にある。」というキャッチコピーは、食という日常的な行為の中に普遍的な愛の価値を見出し、多くの人々の心に温かいメッセージを届けています。 家族への感謝や未来への願いといった普遍的なテーマを扱うことで、多くの人の心に響くメッセージとなります。 具体的な情景やストーリーを想起させる言葉は、単なる情報の伝達を超えて、消費者の心の中にブランドの世界観を広げます。
このようなコピーは、製品の機能的な価値だけでなく、それを使うことで得られる感動や喜びといった情緒的な価値を伝えるのに非常に有効です。 人々の心に寄り添い、温かい関係を育む力を持っています。
短い言葉で商品の魅力を伝える秀逸なキャッチコピー
情報が溢れる現代において、メッセージを短く、かつ的確に伝える能力は非常に重要です。 秀逸なキャッチコピーは、無駄を削ぎ落とした短い言葉の中に、商品やサービスの最も重要な魅力や本質を凝縮させています。一言で言い切ることで、メッセージはより力強く、記憶に残りやすくなります。
例えば、セブン-イレブンの「近くて便利」のように、誰もが知るブランドが持つ価値を端的に表現することで、消費者に明確なイメージを与え、共感を呼び起こします。 この種のコピーを作るには、自社の提供価値を深く理解し、何を一番に伝えたいのかを徹底的に突き詰める必要があります。 リズム感の良い言葉を選んだり、意外性のある単語を組み合わせたりすることで、短くても強いインパクトを生み出すことが可能です。
短い言葉で最大限の効果を発揮するキャッチコピーは、消費者の心に深く刻み込まれ、ブランドに対する愛着を育む上で非常に重要な役割を果たします。
心に響くキャッチコピーを生み出すための3ステップ

優れたキャッチコピーは、単なるひらめきだけで生まれるわけではありません。
ターゲットを定め、自社の強みを分析し、効果的な言葉を選ぶという論理的なプロセスが不可欠です。
ここでは、多くの企業が抱える「何を伝えればいいかわからない」という問題を解決するため、心に響くキャッチコピーを生み出すための具体的な3つのステップを解説します。
この手順を踏むことで、効果的なメッセージ作成が可能になります。
Step1:「誰に」「何を」伝えたいのかターゲットを明確にする
キャッチコピー作成の最初のステップは、メッセージを届けたい相手、つまりターゲットを具体的に定めることです。
年齢や性別、ライフスタイル、価値観といった要素から、架空の顧客像(ペルソナ)を設定すると、より解像度の高いメッセージを考えやすくなります。
例えば、「20代の社会人女性」といった大まかな括りではなく、「都心で働き、週末は趣味の時間を大切にする28歳の女性」のように具体化します。
ターゲットが明確になれば、その人がどのような言葉に心を動かされ、どんな課題を抱えているのかが見えてきます。
誰に話しかけるのかをはっきりさせることで、言葉の選び方やトーンが自然と定まります。
Step2:自社の独自の強みや提供できる価値を洗い出す
ターゲットが定まったら、次にその相手に対して何を伝えるべきかを考えます。
競合他社にはない自社だけの独自の強み(USP:Unique Selling Proposition)や、顧客に提供できる特別な価値をすべて洗い出しましょう。
技術力、デザイン性、サービスの質、顧客サポートの手厚さなど、あらゆる側面から自社の特徴をリストアップします。
また、創業以来の歴史や企業の理念、例えば100周年を迎えるといった節目も、他社にはない独自の価値となります。
この洗い出し作業を通じて、自社が本当に誇れること、そしてターゲットの心に最も響くであろうセールスポイントを見つけ出すことができます。
Step3:読者の心に刺さる言葉を選ぶためのテクニックを活用する
ターゲットと伝えるべき価値が明確になったら、最後のステップとして、それらを最も効果的に表現する言葉を選びます。比喩や対比、反復、擬人化といったコピーライティングのテクニックを活用することで、メッセージをより印象的にすることが可能です。
また、ブランドイメージに合わせて、あえて英語を使ったり、逆に日本らしい「和」のテイストを感じさせる日本語を選んだりする工夫も有効です。
海外、例えばアメリカのキャッチコピーが直接的な表現が多いのに対し、日本では情緒に訴える表現が好まれる傾向もあります。
様々な表現方法を試し、ターゲットの心に最も深く刺さる言葉を見つけ出します。
まとめ
企業のキャッチコピーは、ブランドの価値を伝え、顧客や社会との関係を築くための重要なコミュニケーションツールです。
本記事で紹介した作り方のステップや、2022年以前から語り継がれる名作事例、そして2025年現在のトレンドも参考にしながら、自社の魅力を最大限に引き出す言葉を見つけることが求められます。
このまとめを参考に、ぜひ自社ならではの心に響くキャッチコピーを作成してみてください。
言葉は単なる表現ではなく、企業の姿勢そのものです。
Piicのブランディングワークショップでは、ヒアリングを通じて企業の本質を言語化し、キャッチコピーやブランドストーリーへと落とし込みます。自社の想いを“伝わる言葉”に変えてみませんか?
