
採用活動は、企業の成長に不可欠な人材を確保するための重要な業務です。
採用計画の立案から応募者対応、面接、内定者フォローに至るまで多岐にわたり、多くの時間と労力がかかります。
近年、労働人口の減少や採用競争の激化により、採用業務の効率化は企業の喫緊の課題となっています。
そこで注目されているのが、採用RPAです。
採用RPAとは、採用業務における定型的な作業を自動化するツールを指します。
本記事では、採用RPAの基礎知識から種類、メリット、具体的な活用例、導入に適した企業の特徴、そして導入ステップまでを詳しく解説し、採用業務の効率化を検討している担当者の方々へ実践的な情報を提供します。

Index
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採用業務の自動化を実現するRPAの基礎知識
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自社に最適なRPAは?3つの種類とそれぞれの特徴
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PC1台から導入できる「デスクトップ型」
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場所を選ばず利用できる「クラウド型」
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社内全体で大規模に活用できる「サーバー型」
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採用業務にRPAを導入して得られる3つのメリット
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単純作業から解放されコア業務に集中できる
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人件費や採用コストの削減につながる
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入力ミスなどのヒューマンエラーを防止できる
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採用RPAで自動化できる業務とは?具体的な活用例を紹介
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応募者への連絡・一斉メール配信
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求人媒体からの応募者データ転記
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面接日程の調整とリマインド通知
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内定者への書類送付と管理
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採用RPAの導入が特に効果的な企業の特徴
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多くの応募があり対応に追われている
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採用担当者の人数が限られている
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選考プロセスが複雑で工数がかかっている
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失敗しないための採用RPA導入3ステップ
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ステップ1:現状の採用業務をすべて洗い出す
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ステップ2:RPAで自動化する業務の範囲を決める
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ステップ3:ツールを選定し小規模にテスト導入する
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まとめ
採用業務の自動化を実現するRPAの基礎知識

RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、ソフトウェアロボットが人間の代わりにパソコン上での定型的な作業を自動化する技術やツールのことです。
主にバックオフィス業務におけるホワイトカラーのデスクワークを効率化・自動化し、業務を代行できます。
採用業務においても、RPAは計画立案から応募者の募集、面接、内定出し、そして入社までのフォローといった一連のプロセスで発生する反復作業を自動化し、大幅な効率化に貢献するツールです。
例えば、データ入力やファイル作成、メール送信といった作業を正確かつスピーディに処理できるようになります。
RPAの導入は、少子高齢化による労働力人口の減少や働き方改革の推進といった社会的な背景から、多くの企業で業務効率化・業務改善の必要性が高まっている中で注目を集めています。
RPAは、人が行う処理手順を記憶させれば、24時間365日稼働し、人間が行うのと同様に複数のシステムやアプリケーションを操作して業務を実行可能です。これにより、業務品質の向上と作業時間の短縮を実現できます。
自社に最適なRPAは?3つの種類とそれぞれの特徴
RPAツールは、主に「デスクトップ型」「クラウド型」「サーバー型」の3種類に分類され、それぞれに特徴や適した利用規模が異なります。
自社のニーズや状況に合わせて最適なRPAを選ぶことが重要です。
これらのRPAツールは、特定の機能や特性を持つため、業務プロセスに適した選択をすることで、より効果的な自動化を実現できます。
また、導入コストや運用・管理のしやすさも種類によって異なるため、自社のITリソースや予算も考慮して検討することが求められます。
PC1台から導入できる「デスクトップ型」
デスクトップ型RPAは、各従業員のパソコン1台ごとにRPAをインストールして利用するタイプです。
個人や特定の部門単位での利用に適しており、特定のタスクを効率的に自動化できます。
プログラミングや専門的なIT知識が不要な場合が多く、短期間かつ低価格で導入できるため、RPA導入の初心者や中小企業におすすめです。
部門や現場担当者レベルで管理・運用が可能なため、Excel操作の自動化など、身近な業務の効率化を迅速に実現できます。
ただし、RPAが稼働している間はパソコンが占有されてしまい、他の作業がしにくいというデメリットもあります。
場所を選ばず利用できる「クラウド型」
クラウド型RPAは、クラウドサービスとしてRPAツールが提供されており、主にインターネット(Webブラウザ)上での定型業務を自動化するのに最適です。
インターネット環境があればどこからでもアクセス可能なため、リモートワークや分散した作業環境での利用が容易になります。
インストールや更新作業が自動で完了するため、導入時のハードルが低く、導入コストも比較的安価に抑えられます。
デスクトップ型と同様に専門知識がなくても比較的簡単にRPAを作成・運用できるため、スモールスタートに適しています。
ただし、ローカルにあるExcelなどのアプリケーションやレガシーシステムとの連携には制限がある場合があります。
社内全体で大規模に活用できる「サーバー型」
サーバー型RPAは、自社のサーバーにRPAをインストールし、中央で一元的に管理・操作を行うタイプです。
デジタルレイバーがサーバー内で働き、ロボットと各パソコンを接続することで、業務を横断的に管理し自動化を実現します。
大規模な業務や大量のデータ処理の自動化に向いており、全社的なRPAの一元管理が可能です。
セキュリティ面のリスクが低いというメリットもありますが、プログラミングに関する専門知識が必要な場合が多く、ITエンジニアや情報システム部門など高いスキルを持った人材が運用に不可欠です。
導入コストや管理の難易度は高い傾向にあります。
採用業務にRPAを導入して得られる3つのメリット

採用業務にRPAを導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。
特に、定型的な作業の自動化は、採用活動の質と効率を大きく向上させるでしょう。
以下に、採用業務へのRPA導入によって得られる主な3つのメリットを詳しくご紹介します。
単純作業から解放されコア業務に集中できる
RPAを導入することで、応募者情報のデータ入力や面接日程の調整、合否連絡の一斉送信といった、これまで採用担当者が多くの時間を費やしてきた単純な繰り返し作業を自動化できます。
これにより、採用担当者はこれらの定型業務から解放され、候補者とのコミュニケーションや面接の質向上、採用戦略の立案、企業ブランディングといった、より戦略的で付加価値の高いコア業務に集中できるようになります。
結果として、採用の質が向上し、企業全体の成長に貢献することが期待されます。また、採用担当者の業務負担軽減にもつながり、働きがいのある環境を整備できます。
人件費や採用コストの削減につながる
RPAによる採用業務の自動化は、人件費や採用コストの削減に大きく貢献します。
RPAは24時間365日稼働できるため、これまで残業や休日出勤で発生していた人件費を削減できます。
また、単純作業をRPAが代行することで、採用担当者のリソースを最適化し、人員の再配置や外注コストの見直しにもつながります。
さらに、業務のスピードアップにより選考プロセスがスムーズに進み、優秀な人材の獲得機会を逃すリスクが減ることで、間接的な費用削減効果も期待できます。
長期的に見れば、RPA導入の初期費用を上回る費用対効果が見込めるでしょう。
入力ミスなどのヒューマンエラーを防止できる
RPAを導入する大きなメリットの一つは、ヒューマンエラーの軽減と業務の信頼性向上です。
人の手による作業では、集中力の低下や疲労から入力ミスや処理漏れなどのミスが発生しやすくなります。
特に、応募者データの管理や選考スケジュールの更新といった細かい作業では、小さな見落としが大きなトラブルにつながることもあります。
RPAはあらかじめ設定されたルールに従って、同じ手順を何度でも正確に実行するため、データ入力の正確性が保たれ、メールの誤送信や連絡漏れといったヒューマンエラーを防止できます。
これにより、業務全体の品質が安定し、社内外からの信頼性向上にもつながります。
結果として、エラー対応にかかる時間や労力も削減され、採用担当者はより重要な業務に集中できます。
採用RPAで自動化できる業務とは?具体的な活用例を紹介
RPAは採用業務において多岐にわたる定型作業を自動化できるツールです。
ここでは採用RPAを活用することで具体的にどのような業務を効率化できるのか、その活用例を紹介します。
これらの業務を自動化することで採用担当者の負担を軽減し、より戦略的な採用活動に注力できるようになります。
応募者への連絡・一斉メール配信
応募者への連絡や一斉メール配信は、採用業務の中でも頻繁に発生し、時間と手間がかかる作業です。
RPAを導入することで、説明会や面接の日程案内、合否通知、リマインドメールの送信などを自動化できます。
例えば、応募者データをシステムから抽出し、個別の氏名を挿入したメールを自動で一斉送信する、といったことが可能です。
これにより、連絡漏れや誤送信のリスクを低減し、迅速かつ正確な情報伝達を実現できます。
また、RPAは24時間稼働できるため、応募者からの問い合わせ対応も自動化し、応募者の満足度向上にも貢献できます。
求人媒体からの応募者データ転記
複数の求人媒体を利用している企業では、各媒体からの応募者データを採用管理システムやExcelに手作業で転記する作業が頻繁に発生します。
この作業は時間がかかり、入力ミスも発生しやすいものです。
RPAを導入することで、各求人媒体から応募者データを自動でダウンロードし、自社の採用管理システムや指定のフォーマットに正確に転記できます。
これにより、データ転記にかかる時間を大幅に削減し、ヒューマンエラーを防止できます。
また、常に最新の応募者データを一元的に管理できるようになり、採用活動全体の効率化につながります。
面接日程の調整とリマインド通知
面接日程の調整は、候補者と面接官双方のスケジュールを確認・調整する必要があり、採用業務の中でも特に時間と手間がかかる作業の一つです。
RPAを導入することで、候補者の希望日時と面接官の空き時間に基づき、最適な面接日程を自動で調整し、候補者と面接官に通知できます。
日程調整ツールと連携させることで、ダブルブッキングを防ぐことも可能です。
さらに、面接前日や数日前にリマインド通知を自動で送信することで、面接のドタキャンや忘れを防止し、面接設定から実施までのプロセスをスムーズに進められます。
内定者への書類送付と管理
内定者への入社書類の送付や管理は、漏れなく正確に行う必要がある重要な業務です。
RPAを活用することで、内定者への必要な書類(内定通知書、入社承諾書、雇用契約書など)の作成や、メールでの一斉送付、返送状況の管理などを自動化できます。
例えば、内定者の情報に基づいてテンプレートから書類を自動生成し、指定のメールアドレスに送信する、といったことが可能です。
また、返送された書類のデータをシステムに自動で取り込み、進捗状況を一元管理することで、人事担当者の負担を軽減し、入社手続きを円滑に進めることができます。
採用RPAの導入が特に効果的な企業の特徴

RPAはあらゆる企業で採用業務の効率化に役立ちますが、特定の課題を抱える企業にとっては、その導入効果がより顕著に現れます。
ここでは、採用RPAの導入が特に効果的な企業の特徴を3つご紹介します。
多くの応募があり対応に追われている
多くの応募者が集まる企業では、応募者一人ひとりへの連絡やデータ処理に膨大な時間と労力がかかり、採用担当者が対応に追われがちです。
RPAを導入することで、大量の応募者データの正確かつ迅速な処理が可能になります。
例えば、応募者情報のスクリーニングや一斉通知の自動化により、候補者対応の効率と精度を向上させることができます。
これにより、応募者へのスピーディな対応が可能となり、優秀な人材の囲い込みにも貢献します。
採用担当者の人数が限られている
採用担当者の人数が限られている企業では、一人あたりの業務負担が大きく、コア業務に集中しにくいという課題があります。
RPAは、繰り返し発生する定型作業をロボットに代行させることで、限られたリソースの中で採用活動全体の生産性を向上させます。
単純作業を自動化することで、採用担当者は戦略的な業務や候補者との対話に時間を割けるようになり、結果として採用の質を高めることができます。
コストパフォーマンスの向上と業務の効率化を実現する上で、RPAは非常に有効な手段となるでしょう。
選考プロセスが複雑で工数がかかっている
選考プロセスが複雑で、多くのステップや関係部署との連携が必要な企業では、各工程での情報共有や進捗管理に工数がかかります。
RPAは、これらの複雑なプロセスにおいて、データ入力、情報転記、進捗状況の更新、関係者への通知といった定型作業を自動化できます。
例えば、選考評価の内容をデータベースに登録する際の記入のばらつきや入力漏れを防ぎ、業務の標準化と品質安定化に貢献します。
これにより、選考プロセスの透明性が高まり、スムーズな進行を支援することで、採用期間の短縮にもつながるでしょう。
失敗しないための採用RPA導入3ステップ
採用RPAの導入は、計画的に進めることで成功に導くことができます。
いきなり大規模な自動化を目指すのではなく、段階を踏んで準備を進めることが重要です。
ここでは、失敗しないための採用RPA導入の3つのステップを解説します。
ステップ1:現状の採用業務をすべて洗い出す
RPA導入の最初のステップは、現在の採用業務フローを正確に把握し、すべての採用業務を詳細に洗い出すことです。
採用計画の立案から、求人情報の掲載、履歴書・エントリーシートの受け取りと整理、面接の設定、内定通知、入社手続きといった採用業務全体の流れを細かく可視化しましょう。
各業務の作業量や作業時間も計測し、どこに課題やボトルネックがあるのか、どのプロセスが自動化に適しているのかを明確にします。
この現状把握が不十分だと、RPAを導入しても期待する効果が得られない可能性があるため、時間をかけて丁寧に行うことが重要です。
また、採用管理システムなどの既存システムで改善できる部分があれば、無理にRPAに任せず、既存システムの活用も検討すると良いでしょう。
ステップ2:RPAで自動化する業務の範囲を決める
現状の採用業務を洗い出し、課題を明確にしたら、次にRPAで自動化する業務の範囲を具体的に決定します。
RPAは万能ではないため、採用プロセスの全てを自動化できるわけではありません。人間が行わなくても良い単純な繰り返し作業や定型業務に焦点を当てて選定することが成功の鍵です。
例えば、合否の通知や面接日時の確認メール送信、求人情報の掲載作業、履歴書や職務経歴書などのデータ入力・管理、応募者との面接スケジュール調整、応募者データの抽出などがRPA導入に適しています。
自動化によって削減できる時間や導入コスト、費用対効果などを慎重に見極め、小規模な業務からスモールスタートで始めることをおすすめします。
導入する範囲を明確にすることで、後々のトラブルや無駄を避けられるでしょう。
ステップ3:ツールを選定し小規模にテスト導入する
自動化する採用業務の範囲が決まったら、次に自社のニーズに合ったRPAツールを選定します。
RPAツールには様々な種類があるため、機能、操作性、サポート体制、費用などを比較検討することが重要です。
ツールを選定したら、すぐに本格導入するのではなく、まずは小規模な範囲でテスト導入を行いましょう。
テスト導入を通じて、対象業務の自動化が可能か、ロボット開発時の操作性、安定性などを確認します。
実際に運用してみないとRPAの効果や不具合、問題点は見えにくいものです。
テスト導入で得られた結果を基に効果検証を行い、必要に応じて改善を重ねてから本格導入へと移行することで、失敗のリスクを低減し、スムーズなRPA活用を実現できます。
まとめ
採用業務におけるRPAの導入は、定型作業の自動化を通じて、業務効率の向上、人件費・採用コストの削減、ヒューマンエラーの防止といった多くのメリットをもたらします。
RPAにはデスクトップ型、クラウド型、サーバー型の3種類があり、自社の規模や目的に応じた選択が可能です。
応募者への連絡、求人媒体からのデータ転記、面接日程調整、内定者への書類送付など、多岐にわたる業務が自動化できます。
特に、多くの応募者対応に追われている企業や採用担当者の人数が限られている企業、選考プロセスが複雑な企業にとって、RPAは大きな効果を発揮するでしょう。
導入にあたっては、まず現状の業務を洗い出し、自動化する範囲を決定し、小規模なテスト導入から始めることが成功の鍵となります。
採用RPAを適切に活用することで、採用担当者はより戦略的な業務に集中し、企業全体の成長に貢献できるはずです。
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