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採用コンセプトとは?作り方と企業の成功事例を解説|株式会社Piic

採用コンセプトとは?作り方と企業の成功事例を解説

採用コンセプトとは、自社が求める人材に「この会社で働きたい」と思ってもらうため、採用活動の軸となる考え方や指針を言語化したものです。
本記事では、採用コンセプトの作り方を5つのステップで解説し、企業の成功事例をタイプ別に紹介します。

一貫性のあるメッセージで候補者の心をつかみ、採用活動を成功に導くためのヒントを提供します。

Index

採用コンセプトとは?採用活動の軸となる指針

採用コンセプトとは、企業がどのような人材を求め、その人材に対して自社の何を魅力として伝えるのかを明確に定義した、採用活動全体の指針です。
採用活動におけるあらゆる判断の基準となり、メッセージの一貫性を生み出します。

コンセプトが明確であれば、候補者は企業の魅力や価値観を具体的に理解し、自身がその企業で働く姿を想像しやすくなります。

採用キャッチコピーや採用メッセージとの違い

採用コンセプトと採用キャッチコピーは、しばしば混同されますが、その役割は異なります。
採用コンセプトとは、採用活動の根幹をなす「誰に」「何を」「どのように伝えるか」を定めた骨子であり、社内向けの指針としての側面が強いものです。
一方、採用キャッチコピーや採用メッセージは、そのコンセプトを基に、候補者の心に響くよう表現を工夫した具体的な言葉や文章を指します。

つまり、コンセプトが「幹」であるのに対し、キャッチコピーはそこから生み出される「花」や「葉」と考えることができます。
優れたキャッチコピーは、必ずその根底にしっかりとしたコンセプトが存在しています。

採用コンセプトがもたらす3つの重要なメリット

採用コンセプトとは、単なるスローガンではなく、採用活動の質を向上させ、企業の成長に貢献する重要な戦略です。
明確なコンセプトを策定することで、メッセージの一貫性、ミスマッチの防止、そして他社との差別化という、採用における3つの大きなメリットが生まれます。

これらは、採用担当者の業務効率化だけでなく、入社後の定着率向上にも影響を及ぼす要素となります。

採用活動全体でメッセージに一貫性が出る

採用コンセプトが定まっていると、求人媒体の原稿、採用サイトのコンテンツ、説明会の内容、面接官の質問、採用コンセプトムービーに至るまで、すべてのコミュニケーションにおいて発信するメッセージに一貫性が生まれます。
担当者によって言うことが変わる、媒体によって訴求内容が異なるといったブレがなくなり、候補者に対して企業の魅力や価値観が統一されたイメージで伝わります。

この一貫したメッセージングにより、候補者は企業への理解を深め、信頼感を抱きやすくなります。

候補者とのミスマッチを減らし早期離職を防ぐ

良い面だけをアピールするのではなく、企業の価値観や風土、時には厳しさも含めたリアルな姿を伝えるのが、効果的な採用コンセプトの作り方です。
コンセプトを通じて、自社が求める人物像や働き方を明確に打ち出すことで、候補者は「自分に合う会社か」を事前に判断しやすくなります。

これにより、入社前に抱いていたイメージと入社後の現実とのギャップが少なくなり、価値観の不一致によるミスマッチを未然に防ぎます。
結果として、早期離職率の低下にも貢献します。

他社との差別化で自社の魅力を際立たせる

労働市場において、候補者は数多くの企業を比較検討しています。
給与や福利厚生といった条件面だけでなく、「その会社で働くことの意義」や「独自の魅力」が、選ばれるための重要な要素となります。

採用コンセプトの作り方を工夫し、自社ならではの強み、社風、ビジョンなどを明確な言葉で表現することで、他の企業にはない独自の魅力を際立たせることが可能です。
これにより、自社の価値観に共感する優秀な人材からの応募を促し、採用競争力を高めることにつながります。

採用コンセプトの作り方を5ステップで分かりやすく解説

効果的な採用コンセプトは、感覚的に決めるものではなく、論理的な手順を踏んで作り上げることが重要です。
ここからは、採用コンセプトの作り方を5つの具体的なステップに分けて解説します。

自社の現状分析から始め、ペルソナ設定、魅力の言語化、メッセージ決定、そしてフレーズへの集約まで、順を追って進めることで、自社らしく、かつターゲットに響くコンセプトを策定できます。

ステップ1:自社の現状を分析して採用課題を特定する

採用コンセプトの作り方の第一歩は、現状を客観的に把握することから始まります。
自社の経営理念や事業戦略、社風といった内部環境を再確認するとともに、競合他社の採用動向や、候補者となるターゲット市場のニーズといった外部環境を分析します。

いわゆる3C分析(自社・競合・候補者)が有効です。
その上で、「応募数が少ない」「内定辞退率が高い」「求めるスキルを持つ人材と出会えない」など、自社の採用活動における具体的な課題を洗い出します。
この課題設定が、コンセプトが目指すべき方向性を定める上で不可欠な工程となります。

ステップ2:求める人物像(ペルソナ)を具体的に描く

次に、どのような人物を採用したいのかを具体的に定義します。これがペルソナ設定です。
スキルや経験といった表面的な条件だけでなく、価値観、仕事に対する考え方、興味関心、キャリアプランなど、人物の内面にまで踏み込んで詳細な人物像を描きます。

例えば、「チームで協力しながら新しい価値を生み出すことに喜びを感じる人」や「裁量権を持ってスピーディーに業務を進めたい人」のように、具体的なシーンを想像できるレベルまで落とし込むことが、後のステップでメッセージを的確に届けるための土台となります。
この作り方が、メッセージの解像度を高めます。

ステップ3:競合にはない自社ならではの魅力を言語化する

自社の現状分析とペルソナ設定が完了したら、そのペルソナに対してアピールできる自社の魅力を洗い出します。
ここで重要なのは、他社も言っているような一般的な魅力ではなく、「自社ならでは」の独自性を見つけ出すことです。
事業内容、技術力、働く環境、企業文化、社員の人柄など、様々な角度から魅力を探します。

社員アンケートやワークショップを実施し、現場の生の声を集めるのも有効です。
洗い出した魅力は、単なる単語の羅列ではなく、「どのような価値を提供できるのか」という視点で言語化していきます。

ステップ4:採用の軸となるコアメッセージを決定する

言語化した複数の魅力の中から、設定したペルソナに最も強く伝えたい、採用活動の核となるメッセージを一つに絞り込みます。
これがコンセプトの骨子となるコアメッセージです。
選定する際は、「ペルソナが最も魅力を感じるか」「自社の本質を表しているか」「競合にはない独自性があるか」という3つの視点で評価します。

多くのことを伝えたい気持ちを抑え、最も重要な一点にフォーカスすることが、メッセージの強度を高めるための重要な作り方です。
このコアメッセージが、今後のあらゆる採用活動の判断基準となります。

ステップ5:心に響く短いワンフレーズに集約する

最後に、決定したコアメッセージを、覚えやすく、候補者の心に響くような短く魅力的なフレーズにまとめ上げます。
このフレーズは、採用サイトや求人広告でキャッチコピーとして使われることもあります。
抽象的すぎず、具体的すぎない、絶妙なバランスが求められます。
また、企業らしさが感じられる言葉を選ぶことも重要ですす。

複数の案を出し、声に出して読んだ時のリズム感や、聞いた時の印象を確認しながら、最もコンセプトの本質を表現できるフレーズを選び抜くのが、効果的な作り方の最終段階です。

【タイプ別】人気企業の採用コンセプト成功事例

ここでは、実際に企業が掲げている採用コンセプトの成功事例をタイプ別に紹介します。
各社がどのような考え方でコンセプトを設計し、候補者にメッセージを届けているのか、具体的な例を見ることで自社のコンセプト作りのヒントが見つかります。

企業のビジョンや働き方など、何を軸に訴求しているのか、その違いに注目して一覧で確認すると、より理解が深まります。

企業のビジョンや世界観を伝える採用コンセプト例

企業の壮大なビジョンやミッションへの共感を促し、同じ未来を目指す仲間を集めるタイプのコンセプトです。
例えば、ソフトバンクグループの「情報革命で人々を幸せに」という経営理念は、事業そのものが採用メッセージとなっており、大きな目標に挑戦したいと考える人材に響きます。

また、株式会社Cygamesが掲げる「最高のコンテンツを届ける」といったメッセージも、その企業が何を目指しているのかを明確に示しています。
この例のように、事業を通じて実現したい世界観を伝えることで、候補者の志向性と企業の方向性を合致させる狙いがあります。

候補者の挑戦心や成長意欲を刺激する採用コンセプト例

挑戦的な環境や成長機会をアピールし、向上心の高い人材を惹きつけるコンセプトです。
リクルートの「まだ、ここにない、出会い。」というフレーズは、新しい価値創造への挑戦を促し、自ら機会を創り出すことを求める姿勢を示しています。

サイバーエージェントの「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンも、会社の成長と共に自身も成長したいと考える候補者の意欲を刺激する例です。
困難な課題に立ち向かう姿勢や、若手に裁量権を与える文化などをメッセージに込めることで、成長意欲の高い層に効果的にアプローチします。

働き方や社風の魅力を伝える採用コンセプト例

独自の働き方や自由な社風、カルチャーを前面に打ち出すことで、価値観の合う人材を集めるコンセプトは、多くの企業で採用されています。

例えば、サイボウズでは、「100人100通りのマッチング」を目標に、個人の希望とチームの理想を対話を通じてすり合わせ、柔軟な働き方を実現する制度を導入しています。これにより、画一的な働き方を望まない人材からの共感を得ることに繋がっています。

また、メルカリの「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションに付随する「Go Bold(大胆にやろう)」などのバリューも、企業のカルチャーを伝える良い例です。メルカリのバリューは、採用基準や人事評価、日々の業務、経営判断に至るまで、あらゆる意思決定の基礎となっており、社内での浸透度も非常に高いとされています。ワークライフバランスや社内の雰囲気を重視する候補者に対して有効なアプローチといえます。

採用コンセプト策定で陥りがちな3つの失敗パターン

採用コンセプトの作り方には、いくつかの落とし穴が存在します。
せっかく時間をかけて策定しても、方向性を誤ると効果が出ないばかりか、かえって採用活動の妨げになることさえあります。

ここでは、コンセプト策定の過程で陥りやすい3つの典型的な失敗パターンを紹介します。
これらのパターンを事前に理解し、自社のコンセプト作りで同じ轍を踏まないように注意を払いましょう。

企業理念や実態からかけ離れた理想像を掲げてしまう

候補者によく見せたいという気持ちが先行し、実態以上に理想的な言葉や美辞麗句を並べたコンセプトを作ってしまうケースです。
例えば、実際にはトップダウン型の文化であるにもかかわらず、「ボトムアップで挑戦できる環境」と謳ってしまうと、入社した候補者は強いギャップを感じ、早期離職の原因となります。

採用コンセプトは、あくまで企業の実態に基づいている必要があります。
等身大の姿を誠実に伝える姿勢が、長期的な信頼関係を築くための正しい作り方です。

ターゲットが曖昧で誰の心にも響かない言葉になる

優秀な人材といった漠然としたターゲット設定のままコンセプトを作ると、結果的に誰の心にも響かない、ありきたりな言葉になってしまいがちです。
コミュニケーション能力が高い人や主体性のある人といった言葉は、どの企業でも使われるため差別化になりません。
ペルソナを具体的に設定し、どのような価値観を持つ、どんな人に来てほしいのかを明確に絞り込む作り方をしなければ、メッセージの鋭さが失われます。

万人受けを狙うのではなく、届けたい相手に深く突き刺さる言葉を選ぶ意識が不可欠です。

社内への共有不足で採用活動に活かされない

素晴らしい採用コンセプトを策定しても、人事担当者の中だけで共有され、経営層や現場の面接官にまで浸透していないケースも少なくありません。
コンセプトが社内で共有されていなければ、面接官によって候補者に伝える魅力が異なったり、質問の基準がぶれたりしてしまい、一貫した採用活動が行えません。

コンセプトが完成したら、必ず社内向けの説明会を開くなどして、全社的な共通認識とすることが重要です。
この共有プロセスを軽視しない作り方が、コンセプトを形骸化させないために必要です。

採用コンセプトについてよくあるご質問

Q. 採用コンセプトはいつ作るべきですか?

A. 採用活動を本格的に開始する前、または採用計画を見直すタイミングで策定するのが理想的です。
特に、採用がうまくいっていないと感じる場合は、根本的な課題解決のためにコンセプトの見直しをおすすめします。

Q. 良いコンセプトが思いつきません。どうすればいいですか?

A. まずは社内分析から始めることが重要です。
経営層や現場社員へのヒアリング、ワークショップなどを通じて、自社の強みや魅力を多角的に洗い出してみてください。
外部の専門家の意見を取り入れるのも一つの方法です。

Q. 新卒採用と中途採用でコンセプトは変えるべきですか?

A. 企業の根幹となる価値観は共通であるべきですが、ターゲットとなるペルソナが異なるため、訴求する魅力や表現方法を変えることは有効です。
新卒にはポテンシャルや成長環境を、中途には即戦力としての活躍や事業への貢献を主軸に置くなど、調整が考えられます。

Q. 一度決めた採用コンセプトは変更しても良いのでしょうか?

A. はい、変更は可能です。
事業内容の変化、市場環境の変動、採用課題の移り変わりなどに合わせて、定期的に見直し、最適化していくことが望ましいです。
ただし、頻繁に変更するとメッセージがぶれるため、慎重な判断が求められます。

Q. 採用コンセプトの効果はどのように測定すれば良いですか?

A. コンセプト設定時に特定した採用課題が改善されたかで測定します。
「応募数の増加」「内定承諾率の向上」「選考辞退率の低下」「入社後の定着率」などの指標を定点観測し、コンセプトが効果的に機能しているかを評価します。

まとめ

採用コンセプトは、採用活動の成否を左右する羅針盤です。
本記事のまとめとして、その要点を振り返ります。
まず、自社の現状と課題を正確に分析し、求める人物像を具体的に描くことが出発点となります。

次に、競合にはない自社ならではの魅力を言語化し、最も伝えたいコアメッセージを決定します。
最後に、そのメッセージを候補者の心に響く短いフレーズに集約するのです。
この一連のプロセスを通じて策定されたコンセプトは、採用活動に一貫性をもたらし、ミスマッチを防ぎ、他社との差別化を実現します。

採用コンセプトをつくるだけでは、候補者には届きません。
大切なのは、その想いを“正しく伝わる形”に落とし込むことです。

Piicでは、企業の強み・価値観・働くリアルを丁寧に言語化し、
採用コンセプトを軸にした「一貫性のある採用サイト」 を制作しています。

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