
採用クロージングは、候補者の入社意欲を高め、内定承諾へと導くための重要な活動です。
人事や採用担当者にとって、優秀な人材を確保するためには欠かせないプロセスといえます。
売り手市場が続くなか、候補者に自社を選んでもらうためには、面接の段階から適切なアプローチが求められます。
この記事では、採用クロージングの基本的な考え方から、内定承諾率を高める具体的な手法、成功させるためのポイントまでを解説します。

Index
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そもそも採用クロージングとは?
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採用クロージングが内定承諾率の向上に欠かせない理由
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内定承諾を後押しする採用クロージングの具体的な5つの手法
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候補者の疑問や不安を解消するクロージング面談の実施
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定期的な連絡で候補者との心理的な距離を縮める
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会社の雰囲気を肌で感じてもらうための社員交流会
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入社後の働き方を具体的にイメージさせる情報提供
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候補者一人ひとりの価値観に寄り添ったアプローチ
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【対象者別】採用クロージングを成功させるためのポイント
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新卒採用で内定者の入社意欲を高めるコツ
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中途採用で即戦力人材を惹きつけるアプローチ
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採用クロージングで失敗しないための3つの注意点
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自社の魅力ばかりを一方的にアピールしない
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候補者の意思を尊重し過度なプレッシャーをかけない
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選考プロセスを通して信頼関係を構築する
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採用クロージングについてよくあるご質問
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Q1.クロージング面談はいつ実施するのが効果的ですか?
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Q2.内定辞退の連絡があった場合、引き留めても良いですか?
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Q3.複数の候補者に同じ対応をしても問題ないですか?
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Q4.クロージングにかけるべきコストや時間の目安はありますか?
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Q5.オンラインでのクロージングで気をつけることは何ですか?
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まとめ
そもそも採用クロージングとは?

採用クロージングとは、候補者に入社の意思決定をしてもらうために、企業の魅力を伝えたり、疑問や不安を解消したりする一連のコミュニケーション活動を指します。
単に内定を通知して承諾を待つだけでなく、候補者の入社意欲を醸成し、最終的な決断を後押しする能動的な働きかけが特徴です。
具体的には、最終面接後のフォローアップ、内定者面談の実施、社員との交流機会の提供などが含まれます。
候補者が抱える懸念点を払拭し、入社後の働く姿を具体的にイメージしてもらうことで、内定承諾へと導くための重要なプロセスです。
採用クロージングが内定承諾率の向上に欠かせない理由

現在の採用市場は、学生や求職者にとって有利な「売り手市場」が続いており、優秀な人材ほど複数の企業から内定を得る傾向にあります。
そのため、企業側が内定を出しても、候補者が本当に入社してくれるとは限りません。
他社と比較検討された結果、辞退されてしまうケースも少なくないのが実情です。
そこで重要になるのが、採用クロージングです。
候補者が抱える不安や疑問を解消し、自社で働くことの魅力を的確に伝えることで、入社への意欲を高めます。
この最終的なアプローチが、数ある選択肢の中から自社を選んでもらうための決定打となり、内定承諾率の向上に直結するのです。
内定承諾を後押しする採用クロージングの具体的な5つの手法

内定承諾率を高めるためには、候補者の心に響くアプローチが不可欠です。
採用担当者は、候補者の状況や心情を深く理解し、適切なタイミングで効果的な働きかけを行う必要があります。
ここでは、候補者の入社意欲を高め、内定承諾を後押しするための具体的な以下5つの手法を紹介します。
- 候補者の疑問や不安を解消するクロージング面談の実施
- 定期的な連絡で候補者との心理的な距離を縮める
- 会社の雰囲気を肌で感じてもらうための社員交流会
- 入社後の働き方を具体的にイメージさせる情報提供
- 候補者一人ひとりの価値観に寄り添ったアプローチ
これらの手法を組み合わせることで、より確実な成果を目指せます。
候補者の疑問や不安を解消するクロージング面談の実施
通常の選考面接とは別に、クロージング面談の機会を設けることは非常に有効です。
この面談の目的は、候補者が抱える疑問や不安をすべて解消することにあります。
給与や福利厚生、残業時間、配属先の人間関係など、候補者が聞きにくいと感じていることに対して、企業側からオープンに情報を提供します。
一方的に魅力を伝えるだけでなく、候補者の懸念点に真摯に耳を傾け、一つひとつ丁寧に回答する姿勢が信頼関係を深めます。
候補者が納得感を持って意思決定できるよう、対話を通じて入社への障壁を取り除く場として活用します。
定期的な連絡で候補者との心理的な距離を縮める
内定を出してから承諾、あるいは入社までの期間が空いてしまうと、候補者は不安を感じやすくなります。
この期間に連絡を怠ると、候補者の入社意欲が低下し、他社へ心が傾いてしまう可能性があります。
そこで、人事担当者から定期的に連絡を入れることが重要です。
例えば、社内イベントの様子を伝えたり、入社準備に関する情報を提供したりするなど、内容は些細なもので構いません。
定期的な接触は、候補者に「気にかけてもらえている」という安心感を与え、企業への帰属意識を高める効果があります。
こうした細やかなコミュニケーションが、候補者との心理的な距離を縮め、内定辞退を防ぐことにつながります。
会社の雰囲気を肌で感じてもらうための社員交流会
企業のウェブサイトやパンフレットだけでは伝わらない、職場のリアルな雰囲気を知る機会として、社員交流会は非常に効果的です。
採用担当者や役員だけでなく、候補者が将来一緒に働く可能性のある若手や中堅の現場社員と話す機会を設けます。
仕事のやりがいや大変なこと、職場の人間関係といった実体験に基づいた話は、候補者にとって何より信頼できる情報源となります。
社員の生の声を直接聞くことで、候補者は入社後の働き方をより具体的にイメージでき、カルチャーフィットを見極めることができます。
ミスマッチを防ぎ、入社への納得感を高める上で重要な機会です。
入社後の働き方を具体的にイメージさせる情報提供
内定を得た候補者は、入社後に自分がどのように働き、成長していけるのかを具体的に知りたいと考えています。
そこで、担当する予定の業務内容、1日の仕事の流れ、キャリアパスのモデルケース、研修制度の詳細といった情報を提供することが有効です。
可能であれば、配属予定部署の責任者から直接、期待する役割やミッションを伝えてもらう機会を設けるのも良い方法です。
入社後の活躍する姿を鮮明にイメージさせることで、仕事に対するモチベーションが高まり、この会社で働きたいという気持ちを強く後押しします。
抽象的な魅力だけでなく、具体的な情報提供が内定承諾の決め手になることもあります。
候補者一人ひとりの価値観に寄り添ったアプローチ
すべての候補者に同じアプローチをするのではなく、一人ひとりの価値観や志向性に合わせた個別対応がクロージングの成否を分けます。
これまでの面接で得られた情報、例えば候補者が仕事選びで何を重視しているのか、どのようなキャリアを築きたいと考えているのかを基に、伝えるべき魅力をカスタマイズします。
成長意欲の高い候補者には挑戦的な環境や研修制度を、ワークライフバランスを重視する候補者には柔軟な働き方や福利厚生を重点的に説明します。
このように、相手の心に響くポイントを見極めてアプローチすることで、自社が最適な選択肢であることを効果的に示すことができます。
【対象者別】採用クロージングを成功させるためのポイント

採用クロージングは、対象となる候補者の属性によってアプローチを変える必要があります。
社会人経験のない新卒学生と、キャリアを積んできた中途採用の候補者では、仕事に求めるものや抱える不安が異なります。
それぞれの特性を理解し、心に響くメッセージを届けることが、内定承諾率を高める鍵となります。
ここでは、新卒と中途、それぞれの対象者に合わせたクロージングのポイントを解説します。
新卒採用で内定者の入社意欲を高めるコツ
新卒採用では、多くの学生が社会人として働くことに期待と同時に大きな不安を抱えています。
そのため、入社後の教育・研修制度の手厚さや、安心してキャリアをスタートできる環境をアピールすることが重要です。
また、同期入社の仲間とのつながりは、彼らにとって大きな心の支えになります。
内定者懇親会やグループワークなどを通じて、同期との連帯感を醸成する機会を提供すると良いでしょう。
さらに、少し先のキャリアを歩む若手社員との交流会を設定し、入社後の成長イメージを具体的に持たせることも効果的です。
丁寧なフォローで不安を解消し、共に成長できる仲間がいることを示すアプローチが求められます。

中途採用で即戦力人材を惹きつけるアプローチ
中途採用の候補者は、自身の経験やスキルをいかに活かせるか、キャリアアップにつながる環境であるかを重視します。
そのため、クロージングでは具体的な職務内容、裁量権の範囲、期待される成果などを明確に伝える必要があります。
また、給与や役職、福利厚生といった待遇面も重要な判断材料となるため、条件を正直かつ魅力的に提示することが不可欠です。
現職の待遇を上回るオファーはもちろん、スキルアップのための支援制度や、将来のキャリアパスの展望を示すことで、候補者の心を掴みます。
即戦力として活躍できる舞台が用意されていることを具体的に示すアプローチが成功の鍵です。
採用クロージングで失敗しないための3つの注意点

採用クロージングは、内定承諾率を高めるために不可欠ですが、進め方を誤るとかえって候補者の気持ちを離れさせてしまう危険性もはらんでいます。
人事担当者としては、候補者を獲得したいという思いが先行し、良かれと思った行動が裏目に出ることもあります。
ここでは、採用クロージングで失敗しないために押さえておくべき3つの注意点を解説します。
自社の魅力ばかりを一方的にアピールしない
候補者の入社意欲を高めたい一心で、自社の良い点ばかりを一方的にアピールするのは避けるべきです。
メリットばかりを強調されると、候補者はかえって「何か隠しているのではないか」と不信感を抱く可能性があります。
重要なのは、選考面接と同様に対話の姿勢を忘れないことです。
会社の魅力だけでなく、現在抱えている課題や今後の展望なども正直に伝えることで、誠実な印象を与えられます。
候補者の質問や懸念に真摯に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを心がけることで、信頼関係を築くことができます。
候補者の意思を尊重し過度なプレッシャーをかけない
内定承諾の決断を迫ったり、他社の選考を辞退するように強要したりする行為は、絶対に避けなければなりません。
こうした過度なプレッシャーは「オワハラ(就活終われハラスメント)」と受け取られ、企業のイメージを著しく損なう原因となります。
候補者には職業選択の自由があり、複数の選択肢の中からじっくり考えたいと思っています。
その意思を尊重し、「あなたの決断を待っています」というスタンスを示すことが重要です。
最終的な意思決定は候補者自身が行うものであるという前提に立ち、あくまで判断材料を提供するサポート役に徹する姿勢が求められます。
選考プロセスを通して信頼関係を構築する
採用クロージングは、内定を出した後の最終段階だけで行われるものではありません。
候補者が企業と最初に接点を持ってから、内定に至るまでの全てのプロセスがクロージングの一環です。
例えば、迅速で丁寧なメールの返信、面接官の誠実な態度、選考結果の適切な連絡など、一つひとつの対応の積み重ねが信頼関係を構築します。
採用担当者や面接官が見せる一貫した真摯な姿勢が、候補者の心に「この会社は信頼できる」「この人たちと一緒に働きたい」という気持ちを育みます。
最終的な内定承諾は、こうした選考プロセス全体を通じて築かれた信頼関係の上に成り立つものです。
採用クロージングについてよくあるご質問
Q1.クロージング面談はいつ実施するのが効果的ですか?
A1.最終面接の後、内定を通知する前か、内定通知と同時に行うのが一般的です。候補者の入社意欲が最も高いタイミングで、疑問や不安を解消することで、スムーズな内定承諾につながりやすくなります。
Q2.内定辞退の連絡があった場合、引き留めても良いですか?
A2.理由を丁寧にヒアリングし、もし自社で解決できる懸念点(例:待遇や配属先の誤解など)であれば、再度条件を提示して交渉することは可能です。ただし、候補者の意思が固い場合は、しつこい引き留めは避け、気持ちよく送り出すことが企業の評判を保つ上で重要です。
Q3.複数の候補者に同じ対応をしても問題ないですか?
A3.基本的な情報提供は統一しても問題ありませんが、効果的なクロージングのためには、候補者一人ひとりの志向性や価値観に合わせた個別のアプローチが理想的です。面接で得た情報を基に、相手に響くポイントを強調するなど、対応をカスタマイズすることが推奨されます。
Q4.クロージングにかけるべきコストや時間の目安はありますか?
A4.企業規模や採用ポジションの重要度によって異なります。明確な基準はありませんが、例えば社員との食事会や交通費の支給、面談時間の確保など、候補者一人ひとりと向き合うための投資と考えるべきです。費用対効果を意識しつつ、必要なリソースを割くことが求められます。
Q5.オンラインでのクロージングで気をつけることは何ですか?
A5.オンラインでは対面に比べて相手の細かな表情や雰囲気が伝わりにくいため、より意識的に丁寧なコミュニケーションを心がける必要があります。カメラをオンにして顔を見ながら話し、相槌やリアクションを大きくするなど、安心感を与える工夫が重要ですす。また、会社の雰囲気を伝えるために、オフィス紹介動画を活用するなどの方法も有効です。
まとめ
採用クロージングは、内定承諾率を高め、優秀な人材を確保するために人事・採用担当者が注力すべき重要なプロセスです。
売り手市場において、候補者に自社を選んでもらうためには、単に内定を出すだけでなく、候補者一人ひとりの心に寄り添い、不安を解消し、入社への意欲を高める能動的な働きかけが欠かせません。
今回紹介した手法や注意点を参考に、選考の初期段階から候補者との信頼関係を築き、最終的な意思決定を後押しするコミュニケーションを実践してみてください。
こうした地道な取り組みが、企業の持続的な成長を支える人材獲得へとつながります。
採用クロージングの成功には、
候補者が“自社で働く未来”を鮮明にイメージできる情報設計 が欠かせません。
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