CONTACT

SHIGA1000

Company

株式会社彦根麦酒
大学×地元×民間で生まれた彦根麦酒。クラフトビールが地域をつなぐ新たな挑戦

2025.08.21

株式会社彦根麦酒

滋賀県彦根市の石寺町。のどかな田園風景が広がるこの地に、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つクラフトブルワリーがあります。それが「彦根麦酒」。「地域の未来に残るものを」という想いのもと麦芽と酵母、水、そして人の手間ひまをかけて、一本一本丁寧に仕込まれたビールは、観光客だけでなく地元にもじわじわとファンを広げています。今回はその舞台裏と、ものづくりに込めた想いを伺いました。

Q.何年前からスタートされたんですか?

2021年5月に正式オープンしました。製造自体はその1ヶ月前から始めていたので、実質的には4年目に入ったところですね。クラフトビールは季節や気温によって仕込みのタイミングを調整したり、設備の稼働具合によってもスケジュールが変わってくるので、オープン当初は本当に手探りでした。それでも、一本一本丁寧に仕込みながら、徐々にお客様の反応もいただけるようになってきて、今はようやく「彦根麦酒」という名前が少しずつ地域に浸透してきたかな、という実感があります。

Q.そもそも、彦根麦酒を始めようと思ったきっかけは?

2017年頃、この場所の活用を考えていた地元の方々から「何かできないか?」という話が出たのが最初です。ただ、明確なアイデアがなかなか見つからずにいたなかで、滋賀県立大学の向井先生に相談したところ、「クラフトビールをつくってみてはどうか」というご提案をいただいたんです。そこから地域、大学、民間企業が協力しながら、構想が少しずつ具体化していきました。2019年には会社を設立し、私自身もそのタイミングで加わって研修を受けながら準備を始めました。そして、約2年かけて2021年にオープンという流れです。

Q.いわゆる”産官学”みたいな形で?

まさにその通りで、大学と地域住民、そして橋本建設という民間企業の3者で連携して立ち上げたプロジェクトです。それぞれが役割を持ちつつ、「地域に根差す形で持続可能な産業を生み出したい」という共通の想いで動いてきました。研究知見を持つ大学、地元のネットワークを持つ地域、そして資金や実行力を担う企業が、うまく協力し合えたことがこのブルワリーの最大の強みでもあると思っています。

Q.醸造の設備についても教えてください。

醸造設備は大規模な工場というよりも、小規模で手の届く範囲に収まる、家庭的な空間に近いですね。 使用しているのは、寸胴のような大きな釜やタンク類。麦芽とお湯を混ぜて麦汁を作り、煮沸してからホップを加え、その後は急冷して発酵タンクへ。酵母を加えると、発酵の過程で二酸化炭素が発生して、タンクの中で泡がブクブクと立ち始めます。 この一連の流れを、ほぼ手作業で丁寧に行っています。クラフトビールの魅力はこうした“人の手がかかった工程”にこそあると考えているので、効率化よりも品質と丁寧さを大切にしています。

Q.味はどのタイミングで決まるんでしょうか?

味の大枠は、発酵が終わってから数日〜1週間ほどで決まります。 ただし、そこからさらに副原料やホップを追加する“ドライホッピング”などの工程を経て、味や香りに立体感を加えていきます。 この仕上げの段階こそ、クラフトブルワーとしての腕の見せどころです。 また、季節によって水温や気温も変わってくるので、毎回が同じではなく、“今しか出せない味”になるのも醍醐味だと思います。

Q.味はどのタイミングで決まるんでしょうか?

味の大枠は、発酵が終わってから数日〜1週間ほどで決まります。 ただし、そこからさらに副原料やホップを追加する“ドライホッピング”などの工程を経て、味や香りに立体感を加えていきます。 この仕上げの段階こそ、クラフトブルワーとしての腕の見せどころです。 また、季節によって水温や気温も変わってくるので、毎回が同じではなく、“今しか出せない味”になるのも醍醐味だと思います。

Q.麦酒を通して、どんなことが伝わってほしいと考えていますか?

やっぱり、“地域のことを感じてもらう”というのが一番大きいですね。 「彦根麦酒」はもともと、地域連携とか活性化、循環といったキーワードから立ち上がったプロジェクトなんです。だからこそ、ビールを通して少しでもこの地域に関心を持ってもらえたり、地元が元気になったら嬉しいなと思っています。 ビールって、知らない土地のものでも「これ美味しいね、どこでつくってるの?」って話題になりますよね。その“きっかけ”になってくれればいいなと。 「石寺町ってどんな場所なんだろう?」って思ってもらえたら、それだけでもビールの価値があると思っています。

Q.他のクラフトビールと比べたときの、彦根麦酒さんならではの特徴や強みは?

やっぱり「この場所」そのものが、一番の差別化ポイントですね。 ここから見える景色、空気、風の匂い。それが全部合わさって、はじめて「彦根麦酒」の味になるんです。 正直、うちのビールは「来て飲んでもらうのが一番おいしい」と思っていて、景色と一緒に味わうことで五感で楽しめる。そんな体験型のビールを目指しています。 運が良ければ、すぐ目の前の田んぼにハンググライダーが降りてくることもあるんですよ。 青空を見上げながら、麦酒片手にハンググライダーが降りてくるのを眺める ーそんな贅沢な時間を楽しんでもらえたら、もう最高ですね。

Q.最後に、思い入れのある麦酒や、忘れられないエピソードはありますか?

ひとつ挙げるとすれば、研修期間中にOEMでつくらせてもらったヴァイツェンですね。 その麦酒を地元の方に配っていたとき、「これは麦酒じゃない」と言われてしまったことがあって…。もちろん自分たちとしては丁寧に仕込んだつもりだったので、その言葉は今でも心に刺さっています。ただ、そういった率直な声も含めて日々の励みになっていますし、嬉しい感想をいただくこともたくさんあります。 そうやって試行錯誤を重ねながら、もっと地元の方に喜んでもらえる味を目指していきたいですね。 定番商品の見直しも含めて、これからも進化していければと思っています。

企業名 株式会社彦根麦酒
所在地 彦根野口営業所:滋賀県彦根市野口283-2 荒神山醸造所:滋賀県彦根市石寺町1853
創業年 2019年11月11日
代表者 橋本 健一
事業内容 発泡酒・食品製造販売 他
企業ロゴ 株式会社彦根麦酒
企業一覧に戻る

New
Project

ALL
VIEW MORE

Follow Us